冬の京都のおすすめスポットに立ち寄り、近郊の温泉地を訪れる「京都経由、温泉行き」の旅スタイル。第2回は、日本海を望む「夕日ヶ浦温泉」へ。旅慣れた大人の女性も大満足! の美しい夕日と海景、そして旬の蟹を堪能できる極上の温泉宿を紹介。京都編では、「菓寮」「ごはん」「おやつ」の3つのおすすめスポットをセレクト。
雅な京都のあとは、原風景を感じさせる「海のある京都」で、どこか懐かしい、京都のもうひとつの顔を楽しむ。そんな“京都経由、夕日ヶ浦温泉”の旅プランを計画してみては。
vol.02 佳松苑 はなれ櫂(夕日ヶ浦温泉/京都府)
海のある京都で、温泉&蟹三昧
2015年の11月にオープン。夕日ヶ浦の海岸を一望する高台に立つこちらのお宿の魅力は、客室から望む絶景。約1300坪の敷地に15部屋のみといったゆとりのある設えは、寛ぎの滞在を約束してくれる。宿は木造建築。温泉宿らしい風情は残しつつ全室にベッドを備えるなど、温かみと便利さが共存するのもうれしい。
ここでの過ごし方は、海にはじまり海に終わる。冬の丹後の気候は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど気まぐれ。突然の天気雨で海に虹がかかったり、雨の後の澄み切った空に感動したり、雲の動きを追ってみたり……。何も考えず何もせず、空と海の移ろいに思いを馳せるという。静かなる贅沢なときを過ごしてみては。
温泉は、「美人の湯」と評判の夕日ヶ浦温泉。単純アルカリ性の泉質は無色透明で柔らかく、入りやすいのが特徴。男女入れ替え制の大浴場からは海に沈む夕日を見渡すことができる。気兼ねすることなく絶景を独り占めしたいなら、温泉露天風呂付客室がおすすめ。無料の貸切風呂もあるので、好みに応じて使いわけて。
関西では温泉と蟹はセットで楽しむもの。11月に解禁され、今がまさに蟹の旬! 採れたての松葉蟹を様々な調理で楽しむ“蟹三昧”な夕食で至福のひとときを。日本海の海の幸、丹後但馬の山の幸を、お釜で炊きあげた丹後コシヒカリと一緒に心ゆくまで堪能して。
さらに、温泉宿にはめずらしいオールインクルーシブスタイルを採用。部屋ならびに夕食時の飲み物まですべて宿泊費に含まれている。これも、煩わしさなく滞在できるように、というおもてなしのひとつだとか。
佳松苑 はなれ櫂
所在地 京都府京丹後市網野町浜詰669
電話番号 0772-74-9999 ※予約専用(9:00~18:00)
http://k-kai.jp/
夕日ヶ浦温泉の魅力
その名の通り、夕日の美しさが素晴らしい夕日ヶ浦温泉。冬は、山側に夕日が沈むサンセットを楽しめる。海岸は約2キロあり、広い範囲で海岸線を見渡せて、短すぎず長すぎない距離は散歩するのにちょうどいい。
温泉地としての歴史は浅く、1980年代に掘り起こされたのがはじまり。2006年に新たに2本目の源泉を掘削し、よりよい泉質の温泉が湧出された。泉質は低張性弱アルカリ高温泉。肌がしっとりすることから「美人の湯」と呼ばれ、美容に効果があると女性に人気だ。また、疲労回復・神経痛・リウマチ性疾患などに適応すると言われる。
夕日ヶ浦温泉へのアクセスは、リニューアルした、京都と丹後の間を走る特急「丹後の海」を利用したい。内装はJR九州の「ななつ星」など数々の列車デザインで知られる水戸岡鋭治氏が担当。丹後の美しい海をイメージした藍色の車両に、壁は白樺、床はナラ、座席は楓と、異なる木材を使用し、寛ぎの空間を演出した。「海の京都」の景勝を眺めながら、京都で買ったお弁当とおやつで車中の時間も充分に満喫したい。
●夕日ヶ浦温泉までのアクセス
JR利用の場合、大阪・京都駅から約3時間。いずれも「夕日ヶ浦木津温泉駅」にて下車。
2017.01.21(土)
撮影(p2、3、4)=伊藤 信
文=吉村セイラ