イライラをおさえ、体をあたためるレンコンスープ

 私がよく通っているのが、こちらの漢方スープ専門店。鶏肉、豚肉、レンコン、苦瓜、冬瓜などと一緒に漢方が煮込まれていて、いろんな味の漢方スープが楽しめます。

1993年創業「Ah Yip Herbal Soup」。クアラルンプールのショッピングモール「パビリオン」フードコート内に支店がある。

 おすすめは、レンコンとナツメ入りのスープ。ほくほく食感のレンコンに、ほんのり口のなかに広がるナツメの甘み。漢方臭さはほとんどなく、食材そのもののうま味が体中にしみ渡り、思わずふ~っとため息をつきたくなるぐらい、しみじみとおいしいんです。

レンコン、ナツメ、鶏肉入りのスープ。レンコンは体を温める働きのほか、ビタミンCや食物繊維が豊富。ナツメは神経を落ち着かせ、美容効果もあるのだそう。
スープは、弱火で時間をかけて煮込むとおいしくなる、といわれ、この店では「ダブルボイル」とよばれる蒸し方式で、長時間調理している。

 ちなみに常夏の国にもかかわらず、マレーシアの漢方スープは、“体温を上げる”レンコンや生姜を使ったものが多いのですが、これはオフィスや公共施設、ショッピングモール内の冷房が強めだから。おまけに外気にあわせてみな薄着なので、けっこう体が冷えているんだとか。たしかにマレーシアで旅疲れを感じたとき、氷入りのジュースをがぶ飲みするよりも、体をあたためるスープを飲んだ方が疲れがとれるんですよね~。

 また、もともとスープをよく飲む中国系マレーシア人にとっては、ふだんの食事にも漢方スープはかかせないもの。専門店でなくてもスープを提供している店が多くあります。

よく見かけるのが、老黄瓜と豚肉(または鶏肉)入りのスープ。冬瓜に近い食感の老黄瓜は、利尿効果や体の余分な熱を取る働きがあるそう。ていねいにアクをとったクリアなスープが滋味深い味。

2017.01.18(水)
文・撮影=古川 音