学校でも職場でもない第3の居場所で、親子でリラックス

 お腹を空かせて帰ってくる子どものために、調理はなるべく一手間ですばやく完成させたい。おかずは前日夜に用意しておき、当日は魚を焼くだけとか、温めるだけにする。また調理をするときに、カレーを作りながら半分は肉じゃがにして後日に回すなど、同じ食材を使い回す工夫をする。

 デパ地下などで半分調理してある惣菜を買うこともあるが、「すべて出来合いのものだと『ママの味じゃない』って言われちゃうので、最後は自分の使っている調味料で味付けができるものを買うようにしています」。

水曜の夜は、持ち寄りで。大人も子どもも毎週楽しみな晩ご飯だ。

 毎週水曜には大野さんの一番のお楽しみが待っている。子どもの幼稚園時代のママ友の家に集まって晩ご飯を食べるのだ。

 子ども同士は小学校が分かれてしまったが、週に一度食事を持ち寄って食卓を囲む。とりとめもなくあれこれ話し、「また明日からがんばろう!」と1~2時間でサッと解散する。学校でもない、職場でもないところに居場所があるのは、子どもにとっても大人にとってもありがたいことだ。

 この「水曜会」はおそらくこの仲間たちの、一生の助け合いの場となるだろう。今の大野さんにとっては、貴重なリラックスの場だ。

幼稚園時代のママ友たちとの結束は固い!

 小学校に入学したばかりの4月には、子どもに家の鍵を持たせるだけで、家族はいっぱいいっぱいだった。けれどもわずか半年で子どもたちがずいぶんしっかりしてきたと大野さんは感じている。

 子どもが学童クラブに入り、周りに共働き家庭が多い環境になった影響もあるのかもしれない。子ども同士で刺激を受けるせいか「自分でご飯を炊いてみたい」と言ってきたり、洗濯物をたたんでおいてくれたり、自発的に動いてくれることが大野さんにはうれしい。

 「だから、どんどん子どもたちに頼ることにしました。毎月ひとつずつ、できることが増えていくんですよ」とほほ笑んだ。

 今、大野さんが急いで帰宅すると、家に着くのが18時半。子ども達が学童から帰ってくるのも18時半。1分でも大野さんが早く帰って出迎えてあげると、走って来て飛びつかんばかりに喜んでくれる。その姿が愛しい。

 10年後にはどうなっていたいですか? と尋ねると「今はまだ一日一日を乗り切るのでせいいっぱいですが、働くママの手本になる理想像を今後、長期的な視点で考えていきたいです」と大野さんはきっぱりと言った。

 来年には、上の子が学童クラブを卒業してしまうので“小4の壁”が待ち受ける。17時まで学校にいられるので、そうするか。長期休みはどうしようか。子どもとの時間と自分の仕事と、どこをどう削って折り合いをつけていくのか。悩みは尽きない。

 けれども、同じ悩みを抱えているママはたくさんいるはず。自らの経験に基づいて、同じ悩みを持つママが働きやすい環境や制度をどんどん会社に提案し、作っていきたいと真摯に語ってくれた。

 「不安はたくさんあるけれど」という大野さん。だが、頼りになる友達がいること。大野さんが子どもたちのことをよく考え、見ていること。子どもたちがよく食べ、よく笑い、よく話して元気に過ごしていること。それらがあれば、きっといろいろな問題に立ち向かっていける力をちゃんと持てるはず。さらに仲間を増やし、ママの働きやすい社会を作ってくれることと期待したい。

Column

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2016.12.22(木)
文・撮影=HITOMINA