越前町のアトリエに毎月1週間以上
8月には3週間滞在して制作
2週間にわたって開催した、およそ1年ぶりの個展「福馬福鳥」が終了。2014年の夏から福井でスタートした「千年陶画プロジェクト」、その2年間の創作成果をまとめて披露させていただきました。
これまで行った個展は2度。
最初は、2015年5月に青山にある、天井が高く居心地のいいカフェで。これはプロジェクトのスタートをみなさんに知ってもらうことが目的でした。
2015年12月、谷中の和食器屋さんの落ち着いた和風空間での個展は、その春から福井・越前町に構えたアトリエで作った作品たちの紹介。暮らしの中に私の作品を置いたらどんなイメージになるのか、それを知ってもらいたいなと思って、本棚やテーブルが置いてある日常の延長線上にあるような空間を選んできました。
今回の会場は、代官山駅近くのギャラリースピークフォー。
大きなガラス張りの真っ白い空間が気持ちいい、とても広々とした空間。著名なアーティストやフォトグラファーなどにも人気のアートギャラリーです。
この春こちらを予約し、会場いっぱいに私の作品を並べることを目標に、福井・越前町のアトリエに毎月1週間以上、8月には3週間滞在して制作をしてきました。
展示したのは150点以上の作品。搬入の日にすべての作品を並べ終え会場を見回した時、「やはりこの場所で観てもらえることになってよかった」と思いました。越前の土をこねて、丸めて、形を作り、焼いて、色を塗り、そしてまた焼く。ゼロから作ってきたすべて1点づつ手作りの作品たち。
それらがライティングされ、真っ白い壁を背景にしてズラリと並んでいる様子は、作品自体も誇らしげにそして楽しそうに見えたから。
オープニングパーティの日には、コミュニケーションディレクターの佐藤尚之さん(さとなおさん)とトークイベントを行いました。
テーマは「アーティストとストーリーを共有すること」。さとなおさんとはTwitterで知り合って、時々おいしいごはんをご一緒する仲。私の作品もいくつか買ってくださっています。
そして家の中にあるそれらの作品を眺めた時、私の存在をふと感じるそうです。それは私がいま同時代に生きているアーティストだからこそだと言われました。
私が毎日ブログやTwitterで発信すること、それが作品と一緒に伝わってきて共感したり思い出したりということがあって、それは例えば、アンディ・ウォーホルなどすでにこの世にいない人の作品だと味わえない感覚なのだとか。とても嬉しいです。
私のほうもそんな方々から伝わってくる言葉に励まされ、そして作品を作る力になっています。
2016.11.26(土)
文・撮影=松尾たいこ