福井は私にとって、すべて包み込んでくれるような場所

今回はリラックスして制作。どんどん作りたくなります。

 福井ですすめている「千年陶画プロジェクト」は2014年夏にスタートし、2015年の春からは福井にアトリエを構えて、本格的に取り組んでいます。

 福井県の越前焼は平安時代から続き、日本古来の窯場である「中世六古窯」のひとつで素朴なおおらかさが特徴。そして私の描く絵は、都会的・エターナルな画風と評されることが多いようです。

 最初は、陶芸に興味を持ち、福井の友人が陶房を構えているからと福井通いを始めたのですが、越前焼を知ったことで、越前の里に伝わるプリミティブで永続性の高い陶の技法と、私が得意とするポップでクールな色合いをつかって独自の作品を作ってみたい! そんな思いが強くなり、アトリエを構えることになったのです。

 千年陶画は「ETERNAL HAPPINES 色あせない幸せをもたらす存在でありたい」、そんな願いをこめて作っています。

田んぼの緑が美しいのですが、こんな風景が当たり前にいっぱい広がっています。

 福井は私にとって、すべて包み込んでくれるような場所。それは自然もそうだし人々もそう。いまはちょうど田んぼの緑が青々として風に揺れ、とても美しくって、神様がいるとしたらきっとこんな場所だろうなあと思います。

 アトリエを構えてから知ったのですが、近くには華道家の勅使河原宏さんが使っていた陶房もあり、彼の友人の岡本太郎さんもここに滞在して、陶芸活動を行っていたとか。

 だから、越前陶芸村の公園内に岡本太郎さんの作品があるのか! とその時はじめて納得しました。そして、ここはきっといい作品が作れる環境に違いない! とあらためてやる気がみなぎってきたのを覚えています。

雑誌挿絵(松尾たいこ・絵/マガジンハウス)から。

2016.07.30(土)
文・撮影=松尾たいこ