写真ではわからない風合いや
見る角度によって変わる作品の表情などを楽しんで
(2) シーサー
沖縄で魔除けや福を呼ぶ縁起物とされているシーサー。私も沖縄で購入したお気に入りのシーサーを玄関に飾っています。
いつか自分でも作ってみたい! と思っていたのですが、ようやく実現しました。今回作ったのは2対ペアの3セット。スワロフスキー社公認ネイルアーティスト大城智之さんとのコラボバージョンもあります。
私は、1年半ほど前から友人の紹介で大城さんのネイルサロンに通っています。
彼はいろんなアーティストの作品やプロダクトとコラボしているのですが、私の作ったプリミティブなシーサーにゴージャスなスワロフスキーがついていたらおもしろいねってことになり、キラキラがいっぱいついた、かわいくて不思議な作品が出来上がりました。
(3) 使える大皿
また、今回は飾り皿でなく、実際に使ってもらえるお皿を作りました。夏に陶芸家の武澤信雄さんと出会ったことがきっかけです。
「あなたが作ってみたいものを描いてみて」と紙を渡され、とっさに思いついたのが、いろんな形の大きなお皿。
武澤さんはその絵を見て「おもしろい! きっとあなただけの形ができるから、作ったものを11月に見せにきなさい」と言ってくださいました。
私は俄然やる気になり、作った大皿は13枚。そうして11月に出来上がったお皿をスーツケースに詰めて、また武澤さんの元を訪れたのです。
ずらりと並べた作品をみて「これだけのものが作れれば大したものだ!よくここまで出来たね」と褒められました。
今回はその中でも「自信を持ってみなさんに見てもらいなさい」と言われた8点の大皿を展示します。お皿は釉薬をかけていなくて素朴な越前の土そのままの色です。
越前の土は高温で焼くことで強く焼き締まるのが特徴。釉薬をかけてないことで、お料理を置くたびに少しずつ味わいが増していき、風合いが出てくるそうです。
他にも、猫の形をしたお香立てや干支のだるまなど150点あまりの作品を展示しています。11月23日(水)まで開催。ぜひ実際の作品を見て、写真ではわからない風合いや見る角度によって変わる作品の表情などを楽しんで欲しいです。
去年はまだ「作ろう」とも思わず「作れる」とも思えなかったモノばかりです。きっとまた来年は違ったものを作りたいと思うんでしょうね。
いまこのタイミングだからこそ作れた私の作品たちにぜひ会いに来てください。
松尾たいこ個展「福馬福鳥」
会期 2016年11月11日(金)~23日(水・祝)
時間 11:00~19:00(最終日は18:00まで) ※木曜休
場所 ギャラリースピークフォー(東急東横線・代官山駅 徒歩2分)
http://blog.galleryspeakfor.com/?eid=725
松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/
Column
松尾たいこの三拠点ミニマルライフ
一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。
2016.11.12(土)
文・撮影=松尾たいこ