テーマパークといえどもあなどれない民族村

自然豊かな民族村でスターフラワーを摘む女性。生花に針で糸を通して作る花輪は、ミャンマーの女性たちに人気の髪飾りとなる。

 ヤンゴンから車で1時間ほどのところにあるのが、「ミャンマー民族村」。135の民族がいるミャンマーには、大きく分けてビルマ族、シャン族、カレン族、モン族、ラカイン族など8つの民族がある。それぞれの民族に伝わる伝統的な生活習慣や文化を一堂に紹介しているのがここ。テーマパークではあるけれど、各民族の暮らしぶりを一度に見られる場所は、なかなか貴重だ。

それぞれの家の中には、各民族の人たちがいる。家の中では、仏像にお祈りする女性も。まるで本物の家の中を訪ねたかのような気分。

 民族によって、家も室内もずいぶんと違う。たとえば、ラカイン族の民家は高床式で、1階部分には機織り機が。モン族の家は、男性と女性の寝室が分かれている。それぞれ、暮らしているところも山岳部だったり平野部だったり、ルーツも異なるので、暮らし方もさまざまなのだ。

ラカイン族の高床式住居。家の中にはキッチンやベッドルーム、1階には機織りスペースがある。

 家のなかには、それぞれの暮らしを再現。キッチンやベッドルーム、宝物の収容部屋などもあるうえ、各部族出身者がいて、まさに家に招かれたかのよう。ミャンマー人はシャイな人が多いけれど、こちらから話しかければ、記念撮影も快く対応してくれる。

モン族の家では、日本の観光地でもお馴染みの顔出しパネルを発見! 室内には民族楽器も。

 チン州にあるハート型をしたレイッ湖や、カチン州にあるミャンマーの最高峰カカボラジ山など、各地の名所がジオラマで表現され、見どころも充実。そんなここは、人気のデートスポットでもある。伝統的衣装のロンジーに身を包んだカップルたちが、なんとも微笑ましい。

 「民族村」はヤンゴン中心部からも十分に日帰り可能。「イェレー・パゴダ」とあわせて出かければ、大都市ヤンゴンとは違った素顔のミャンマーが見られるかもしれない。

木陰で寛ぐ若い僧侶、日傘の下で腕を組むカップル。飾らないミャンマーの素顔が見られる。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

2016.03.30(水)
文・撮影=芹澤和美