渡し船に乗って参拝するユニークな寺院へ

水面に浮かぶような黄金パゴダ。仏教国ミャンマーの中でもユニークな存在。

 ヤンゴン市内にはたくさんのパゴダ(仏塔)がある。たとえば、7000個の宝石をちりばめた「シュエダゴン・パゴダ」、仏塔の中は全面金箔張りの「ボータタウン・パゴダ」、寝釈迦の表情に癒される「チャウッターヂー・パゴダ」など。さらにヤンゴンから足を延ばしたところにあるのが、水上に浮かぶ島のような「イェレー・パゴダ」だ。

ヤンゴンから南に約20キロのチャウタン村にあるイェレー・パゴダ。中洲にあるロケーションはユニークだが、金ぴかぶりは変わらない。

 ここはヤンゴン川の支流の中洲に作られたパゴダ。参拝するには、川岸から渡し船に乗って行く。100年ほど前に建てられたもので、海で修行して超能力を得た僧と、二人の川の精霊が奉られているのだそう。

パゴダまでは渡し船で行く。研修中(?)の若い僧侶の団体も。

 老若男女問わず敬虔な仏教徒が多いミャンマーでは、日常生活も仏教がベースとなっている。それだけに、パゴダを参拝することは、彼らにとっては特別なことではなく、ごく普通のこと。パゴダの周りに日用品店が軒を連ねているのは、人が一番集まる繁華街だからでもある。

 一方では、「イェレー・パゴダ」のような都市郊外の風変わりなパゴダは、旅行気分でいける観光地。参拝者がちょっとはしゃいでいるのは、旅行も兼ねているからなのだろう。

イェレー・パゴダの写真をスマホで撮影する女の子と男の子。
左:若いお母さんと赤ちゃんの姿も。子どもたちもオシャレして、パゴダに参拝。
右:旅行気分でも、そこは敬虔な仏教徒。お参りも熱心だ。

 ここはミャンマーのあらゆる人たちに人気のある場所。山岳部など地方からやって来た参拝者もいて、いろいろな民族衣装が見られるのも楽しい。

頭に布を巻いているのは、ミャンマー東部、シャン州に暮らす山岳少数民族、パオ族の女性。楽しそうな様子は、参拝というよりも旅行のよう。

 ここを訪れた人たちがすることといえば、川の魚に餌をあげること。こうすると、ご利益があるのだとか。寺院の周りに生息する魚を殺生すると天災が起きるという言い伝えもある。川沿いは、思い思いに願い事を心の中で唱えながら魚に餌をあげる人でいっぱい。日本人が神社やお寺でお賽銭を投げる風景とよく似ている。

左:川の魚に餌をあげてご利益を期待! 日本人もミャンマー人も、神様に期待する気持ちは一緒。
右:おいしそうなお菓子と思いきや、魚の餌。

2016.03.30(水)
文・撮影=芹澤和美