ワクワク感のあるアミューズで芸術的なおもてなし。 パーマカルチャーを実践している自家菜園では、新潟の伝統野菜、かぐら南蛮も栽培。 「Restaurant UOZEN」のダイニング。広々としたL字型カウンター席やテーブル席でゆったりと料理をいただけます。 この日のアミューズで供された3品。クロモジの枝に刺さっているのが「ジビエドッグ」。スプーンには「佐渡の毛蟹」。猪のリエットを詰めた「タルト」。 小枝に刺したひと口サイズの「ジビエドッグ」。畑で採れたナスタチウムの下に自家製黒にんにくのソースを忍ばせて。 薄いタルト生地に猪のリエットを詰めた「タルト」は、セロリの葉のパウダーとマタタビのピクルスをプラス。畑で育てたフェンネルシードのピクルスがアクセントになっている「佐渡の毛蟹」は、蟹のコンソメのゼリーの下に、毛蟹の身、セロリのマリネが。 乾杯に登場したのは、ジェローム・プレヴォー「ラ クロズリー レ ベギーヌ エクストラ ブリュット」。果実味のある黒ブドウ100%を木樽で熟成し、発酵させたシャンパーニュはふくよかな味わい。 狩り、漁、畑仕事から料理と向き合っている井上さんにとって、厨房は本当の意味で料理を仕上げる場所。 「アオリイカのシンコとトキイロラッパダケ」は、畑で収穫したかぐら南蛮や食用のホオズキ、ミョウガのピクルス、自家製の猪の生ハム「コッパ」と一緒に盛りつけ。仕上げに畑で摘んだミントとかぐら南蛮のパウダーを一振り。 「アオリイカのシンコとトモイロラッパダケ」には、新潟県産小麦を使った自家製パン、希少なガンジー牛を育てる「加勢牧場」のゴールデンミルクでつくったヨーグルトとともに。ヨーグルトには山で収穫した鬼ぐるみもトッピング。 山の清流で育った山女魚を蕎麦粉のガレットで巻いていただく「山女魚のガレット」は、食べる前からいい香り。 ガレットに添えられるサバイヨンソースは卵を泡立てるようにしてつくるフランスの伝統的なソース。山椒の実の醤油漬けやパウダーで、山椒の風味をプラス。黄色い卵は山女魚のイクラだそう。 ガレットには自然派オレンジワインをペアリング。イタリアのエミリア=ロマーニャ州のラ ストッパ「エミリア ビアンコ アジェーノ」。 2つのソースと自家製サワークリームを添えた「あかもんと佐渡産レモンチェッロ」。 「あかもんと佐渡産レモンチェッロ」には、サヴァニャンとゲヴュルツトラミネールのブレントドワイン、アンヌ&ジャン・フランソワ・ガヌヴァの「ルゾーヌ・ア・デデ」を組み合わせ。「香りが華やか。かぼちゃと合わせると甘い香りがします。かぼちゃを煮たような味に近いかもしれません。複雑でオレンジの皮の苦味のようなニュアンスもあります」 鎚起銅器で知られる「玉川堂(ぎょくせんどう)」のワインクーラーには、秋のメイン食材となる天然のキノコが。この日は松茸、コウタケ、トキイロラッパダケ、クロカワなど。 「天然キノコと月の輪熊のスープ」には、糸魚川市で酒米から自家栽培している渡辺酒造の「根知男山 山廃仕込」をぬる燗にしてペアリング。山廃らしいふくよかな優しい甘みと力強い酸味に、芳醇ながらもするする飲めるキレが楽しめます。 天然の松茸も味わえる「カサゴ」は、華やかで果実味のある北海道余市を代表する赤系品種「ツヴァイゲルト」と松茸など森の香りも感じられる「ピノノワール」を主体にしたドメーヌ タカヒコの「ヨイチ・ノボリ パストゥグラン」とともに。 ジビエ料理「猪ヒレ肉のホワイヨ」。天然の舞茸と山栗を添えて。 香りがよく、肉厚で歯応えもいい天然の舞茸。その名は「とったときの喜びで思わず舞い上がる」ことからきているといわれ、それを実感できるサイズ。ミズナラの巨木の根元に大きな塊状で生えることが多いそう。 デザート1品目は、秋を感じる「おおまさりの最中アイス」。 クレームブリュレ仕立ての「ビオレ・ソリエス」。畑の花とハーブ、自家製アイスクリームとともに。 シチリア島の自然派ワイン「マルコデパルトリ ブックラム ソーレ ダゴスト」。 締めのお茶菓子「ファーブルトン」と「ヨモギのわらび餅」。 「命をいただく」ということに直面し、素材との向き合い方が大きく変わったという井上シェフ。 ジビエの本当のおいしさを求めて、海や山へと忙しい井上シェフは今日も厨房に立っています。