素朴ながら丹念に、精巧につくられたサン・フアン・デ・ラ・ペーニャ修道院。岩壁に隠れるかのように立つその姿は、イスラム教徒との戦いの厳しさを思わせる。 フランス国境でもあるピレネー山脈。この山々が、イスラム教徒のフランス侵攻を防いだともいわれる。イベリア半島の国々からすれば、ピレネーを背にイスラムと闘ったということに。 回廊は修道院の中でも重要なもののひとつだが、何千トンもする岩を屋根にしたこの回廊は特異。でも不思議と落ち着く空間であるのも事実だ。 この修道院の柱頭彫刻は独特の余白があることで知られる。アダムとイヴの物語から、キリストの復活など、じっくり見ていくとクリスチャンでなくとも分かるシーンがたくさん表現されている。 3つの内陣祭室は独特で、天然の岩にはめ込まれたアーチが美しい。この修道院は重層的なつくりで、この祭室の下にもスペイン最古の礼拝堂などがある。 ピレネー登山やスキーなどの拠点でもあるハカの街にはアウトドアスポーツのお店もたくさんあり、アウトレットもあるのでちょっと楽しい。 大聖堂の西にある「荘厳の入り口」。扉上のアーチに囲まれたタンパンに施された装飾は、象徴的かつ重要な意義あるものとされた。左の柱下にあるのが、巡礼者たちが触れたことでできた窪み。扉を囲むアーチの最外周にチェックが施されているが、これは“ハカチェック”といわれ、巡礼のシンボルであるホタテの代わりに使われている。 美術館にあるフレスコ画のこの一部は、「スーザンの叫び声」と呼ばれている。表現力といい彩色の美しさといい、何百年もの時を経ているとは思えない美しさだ。 ロアーレ城遠景。円塔をもつ城壁が2重に城を守っているのが見える。 中世のイメージ通りのロアーレ城。ていねいな修復作業もあり、ヨーロッパでも有数の美しい城のひとつとされている。 入り口上を見上げれば“ハカチェック”の装飾。このお城もまたサンティアゴ巡礼のランドマークになっているようだ。 ロマネスクのマリア様はイエス・キリストを膝に乗せたこの状態で表現される。だから“椅子のマリア”と呼ばれているのだそうな。 2階にある礼拝堂はかなり広い。細い窓はアラバスター(雪花石膏)がはめ込まれ、柔らかな薄明かりが取り込まれる。 街の西にある城壁上から見たアインサ。サンタ・マリア教会の鐘楼とマジョール広場が見える。 展望台のひとつからは岩山のペーニャ・モンタネーザの絶景を見ることができる。 スペインの中でも可憐さで1、2を争うアインサのマジョール広場の様子。 こちらはアラゴン州の名産「ハモン・テルエル 」。白豚のハムだが、いわゆるハモン・イベリコよりもあっさりしてる感じ。それにしても加工肉食品のおいしさは、さすが。 崖の上に立つアルケサル。高いところにあるのが参事会教会で、台形をした回廊、ロマネスクの見事なキリスト像がある。 参事会教会回廊の柱頭彫刻にもほっこり。赤の彩色が残っているのが印象的だ。 こんな二股な家。面白すぎるでしょう。 アインサも高台の村だが、アルケサルのほうが高低差を感じさせるつくり。気の向くままに路地を行く楽しさがある。 アルバラシンの街並みもまたアインサとも、アルケサルとも違う趣で魅力的。 下層から梁をはみ出させ、上層を広く取る構造。この繰り返しでつくり上げられたアルバラシンの街並みは、ちょっと不思議。 ムデハルの街と呼ばれるテルエルには、世界遺産に登録された4本の塔がある。 ムデハル様式の塔は、美しい陶器の装飾とエキゾティックな幾何学模様が特徴。異彩を放つ4本の塔が、テルエルの街を彩る。 テルエルの大聖堂のクーポラを飾るキリスト教的なゴールドと石の装飾と、エキゾティックな天井を彩る木材に彩色の絵画。 スペインの中でも重要な建築のひとつであるピラール大聖堂を望む。 ラ・セオ大聖堂のムデハル様式の外壁。テルエルの塔も素晴らしかったが、この幾重にも組み合わされた幾何学模様の装飾はひときわ異彩を放つ。 円筒形の見張り塔を備えた城壁に囲まれたアルハフェリア宮殿。 アラブの城当時の王室礼拝堂。右奥にメッカに向かって設けられるミフラーブがある。 アルハンブラ宮殿を彷彿させる中庭。