谷間に湧く秘湯

3、長寿館(群馬県・法師温泉)

 法師温泉は三国峠へと続く谷間に湧く秘湯だ。

 この地の一軒宿である長寿館には1875年の創業以来、芸術家が集う。

 「与謝野晶子の『草枕手枕に似じ借らざらん山乃いでゆ乃丸太のまくら』もここで詠んだ歌です」と小佐野氏。

 長寿館の岡村国男氏によれば

「晶子は自然や温泉に心落ち着いたようで3泊の滞在中、99首も歌を詠みました」

 今も宿は明治の趣と名湯に満ち、客を寛がせる。

4、藤三旅館(岩手県・鉛温泉)

 宮沢賢治は出湯の宝庫である花巻に生まれ、生涯、温泉郷と深く関わった。幼少より当地の温泉に通う小佐野氏は「この温泉郷そのものが彼にとってイーハトーブ、桃源郷ですね」と説く。

 鉛温泉・藤三旅館も賢治と縁のある宿で田宮虎彦が小説を執筆したことでも知られる。

 ここでは「立ち湯がおすすめ」と小佐野氏。

 深々とした岩湯船の中へゆっくり立ち入れば足元から湧き上がる湯が全身を伝う。

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