熱帯で生まれ、木の上で過ごす升誼
園内は起伏に富み、パンダがいるエリアは高所にある。カートが目的地に到着すると、そこから歩いてパンダがいる場所へ向かった。ところがパンダがいない。辺りを見回していると、警備員が手で上を示してくれた。見上げると、木の上にパンダがいる。メスの升誼(シェンイー)だ。
升誼は2021年5月31日にマレーシアで誕生した。同年6月23日に東京・上野動物園で生まれた双子の暁暁(シャオシャオ)、蕾蕾(レイレイ)と同い年だ。升誼の両親の鳳儀(フォンイー)と福娃(フーワー)、姉の誼誼(イーイー)は現在、綿陽基地で暮らしている。
升誼は、2歳だった2023年8月29日にマレーシアを出た後、四川省にあるパンダセンターの臥龍神樹坪基地などを経て、北川パンダ動植物園に移った。
升誼が中国へ向けて出発する際、筆者はマレーシアの動物園で見送った。マレーシアで升誼は多くの人に愛されており、別れの日に涙を流す人もいた。ただ、マレーシアは熱帯に位置する。パンダは暑さが苦手なので、升誼は基本的に冷房の効いた屋内で生活していた。
一方、四川省では、夏以外なら、屋外で過ごせる時間が比較的長い。しかも、北川パンダ動植物園は自然が豊かだ。観覧者の数は日時や天候で異なるだろうが、筆者が観覧したときは3人しかおらず、升誼は静寂に包まれながら、高い木の上で過ごしていた。
