恋愛にとらわれない「心から話せる関係」を描きたい

――さて、ジョナのおばあちゃんも、この作品の重要人物です。ジョナのおばあさんとママの関係性も気になるところです。

松虫 これから描きたいなと思っているんですが、ジョナのママは青森の風土が合わなくて、東京に行ったんじゃないかと思うんです。みんなが地元の風土を「良さ」ととらえるわけじゃないですからね。そういう「合わなさ」も。この作品で描きたいことのひとつです。

――ジョナのおばあちゃんはとても信頼できる人に思えますが、ここの母娘関係はどうなんでしょうか。

松虫 おばあちゃんの愛情は、距離感を持って放っておく、そっと見守るタイプです。それは、ママにはハマらなかったんでしょうね。ジョナには合っていますが。

 そして、ママの過干渉的な愛は、ジョナにはハマらなかった。おばあちゃんからママ、ママからジョナへの愛情の形は違っていて、ハマらなかったというところを描きたいと思います。

――正しいかどうかではなく、相性の問題ですね。さて、ジョナと正市の関係性はどうなっていくのでしょうか? 2巻のあとがきで「恋愛関係になるかはわからない」と書かれていましたが。

松虫 対比的なふたりを男女の配置にしたのは、恋愛関係にならなくても面白いものが描けるか挑戦したかったためでもあります。恋愛ものは『自転車屋さんの高橋くん』でやっていますし……。恋愛云々の前に人として、それぞれに抱える満たされなさをどうやったらいっしょに満たしていくことができるかを描こうと。

 たとえば……私、結婚はしなくてもいいけど、友達はいた方がいいと思っているんです。老後のために結婚した方がいいとか、子どもがいた方がいいという考え方もありますが、家族を作ったからといって、その関係性が永遠とは限りません。

 年をとってもいろんな人とパイプをもってつながれて、相談できる、支えになる相手を作れることが重要だなと思います。必ずしも恋人とか夫婦というつながり方じゃなく、心から話せる親友として関係性を担えるかに焦点を当てたいですね。

――最後に、今年の「夜ふかしマンガ大賞」は、CREA秋号「1冊まるごと人生相談」特集にちなんで、「人生に効く!」というテーマがありました。大賞に選ばれたことについて、ご感想をお願いします。

松虫 『林檎の国のジョナ』は共感しやすいエピソードが多い作品かもしれません。ですが、共感だけにとどまらず、自分が共感できないものや人に対しても、一度立ち止まって考えるきっかけになったらうれしいなと思います。

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