最後にシャンシャンがいた状態のまま

 東園の旧パンダ舎で最後に暮らしたパンダはシャンシャン(香香)。シャンシャンは2023年2月21日に中国・四川省へ旅立った。以来、ここは立入禁止となり、基本的にシャンシャンが最後に過ごした状態のままで、「特に大きく手を加えていることはありません」(上野動物園の金子美香子副園長)。

 都によると、解体工事では、タイル製の5頭のパンダは解体する予定だが、逆立ちパンダは保存する。逆立ちパンダをどこで、どのように保存したり活用したりするかは未定だ。屋外放飼場のやぐら、ハンモックは解体する予定。シャンシャンは、やぐらの上ですやすやと眠ったり、ハンモックでくつろいだりしていたこともある。

 屋外にはパンダたちが登った樹木もある。これらを含む屋外放飼場の樹木は「解体工事に影響がなさそうなので、手を付けずに、その場に残す予定です」(東京都建設局の担当者)。一方、解体工事で必要な搬入路を仮設する際に支障となる樹木は移植、または一部の不健全な樹木は伐採を予定している。

 パンダたちが愛用したやぐらやハンモックは、切り分けて返礼品にし、支援金を獣舎の整備費や動物のえさ代にするクラウドファンディングを実施すれば、多くの資金が集まるのでは……と筆者は想像するが、上野動物園によると、その予定はない。同園はクラウドファンディングを導入しておらず、資金提供で応援してくれる人には「ジャイアントパンダ保護サポート基金」や「動物園サポーター」制度の活用を求めている。

 解体工事で、旧パンダ舎の各種アイテムは、どうなるのか。劣化具合にもよるが、パンダのネームプレートといった、取り外して持ち運べるものは保存して、何周年などの節目や「パンダの日」(パンダ初来園の10月28日)に展示する可能性もあるそうだ。

 バックヤードには、シャンシャンの祖母で、シンシン(真真)の母のインイン(英英)の写真が貼られているのが、観覧通路から見えていた。この写真をどうするのかも上野動物園に尋ねたところ、写真に深い意味はないとのこと。光を遮るために、パンダの写真や、リーリー(力力)とシンシンの来園時に製作したポスターを飼育担当者が貼っており、たまたま観客から見える位置にインインの写真があったそうだ。

 これらのほか、比較的大きな構造物でも、状態によっては残される可能性がある。風雨にさらされた屋外のやぐらやハンモックと違い、例えば、屋内の木組みなどは、全部は難しくても、一部を取り外すなどして残すことはできるかもしれない。「残せるものがあれば残すことも、選択肢の一つとして考えています」(金子副園長)。何を残すか残さないかは、前述のアイテム類も含め決まっておらず、上野動物園は今後、旧パンダ舎の屋内外を確認して、検討する予定だ。

 東園の旧パンダ舎は、正門を入ってすぐの好立地に位置する。跡地には、既報の通り、動物園ホールが建設される予定だ。動物園ホールは、かつて西園にあったが、耐震化のため2014年に閉鎖後、解体となっており、園内にない状況が続いている。

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