社会の闇に切り込むドラマ『犯罪者』で、元テレビマンの鑓水七雄を演じた斎藤工さん。情報があふれる時代に何を信じるのか、自身の欠点とどう向き合うのか。作品のテーマにも通じる話から、近年力を入れている発酵食品や腸活の話題まで。斎藤さんならではの視点で語っていただきました。
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悲しみのほうが、自分の感情に輪郭と与えてくれる
――ドラマ『犯罪者』では、情報が錯綜する中で、何を信じるのかが問われます。情報があふれる時代に、斎藤さんご自身は何を拠り所に物事を判断されていますか?
難しいですよね。確かなことではないですし、あくまで僕個人の感覚なんですが、喜びよりも悲しみの感情のほうに、本質的なものが宿る気がするんです。
もちろん、喜びが悪いという意味ではありません。ただ、幸せなときって良くも悪くも現実との境界線が少し曖昧になることがある。一方で、大切な人との別れのような悲しみを伴う出来事に直面したときは、自分が何を大事にしているのか、その輪郭がはっきり見えてくるんですよね。
質問の答えになっているかわからないんですが、僕はそういう自分の感情の輪郭みたいなものを大切にしています。
――本作には、それぞれの正義を抱えた様々な人物が登場します。斎藤さんが思う、かっこいい大人とはどんな人ですか?
作品で「悪」として描かれる人って、必ずしも悪じゃないと思っているんです。正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義だと思っていて。多くの場合、悪人本人は自分がネガティブな存在になっていることに気づいてないという残酷な状態ですよね。よく発酵と腐敗は紙一重だと言われますが、周囲にどんな影響を与えているかを見れば、その違いは意外と明白なんです。
腐敗していくほうは、自分が腐敗していることに気づけないし、そのうち叱ってくれる人もいなくなっていく。賛否あると思うんですが、そうならないためにAIに自分のダメ出しをしてもらうのをおすすめします。自分の中であいまいにしてきた部分を刺してもらうんです。たまに立ち直れないような言葉を突き刺されることもあるんですけどね。
――AIにですか?
今は完成披露や会見の映像もたくさんネットに上がるので、自分が登壇した動画をAIに見せて、「ダメなところを言ってくれ」ってお願いするんですね。そうすると「こんなに人の揚げ足を取る必要はないと思います。今この場所で求められているのは作品の宣伝なのに、他の人が本番でミスしたことを延々いじりつづけるなんて、性格の悪さが露呈しましたね」みたいなことを言われます。
言われてみると確かにそうなんですよ。反論のしようがない。生成AIの使い方はこれがベストなんじゃないかと思っています。こうやって自分の欠点と向き合っていないと、人間は簡単に腐敗してしまう生き物ですから。
