被災地で俳優業の本質に気づかせてもらった

――斎藤さんは農業や被災地の支援など社会活動もされていらっしゃいます。その活動と演じることは、ご自身の中でつながっているものなのでしょうか?

 俳優という仕事は、すごく不透明で不明確な仕事だと思うんです。頑張ったからといって必ず評価されるわけでもないですしね。だからこそ、社会的な活動を通じて、無理やりでも自分なりにこの仕事に意味を与えたいという気持ちはあるのかもしれません。対外的なものではなく、あくまで自分自身のために、ですけど。

 西日本豪雨の時、事務所にも言わずに被災地へ向かったことがありました。その時、家を流されてしまったおばあちゃんが僕を見て「あの変な監督?」って声をかけてくれたんです。ちょうど連続テレビ小説『半分、青い。』で映画監督役を演じていた頃だったので、それを見てくださっていたんでしょうね。

 その時に思ったんです。大変な状況にいる方にとって、ほんの少しでも前向きになれる要素を生み出せるのだとしたら、それこそがこの仕事の本質なのかもしれない、と。その時の感情や気づきが、今も自分を前に進ませてくれている気がします。

――俳優として大活躍されていて多忙な中、農業などの活動も続けていくのは大変ではないですか?

 僕、44歳になるんですけど、世の中の転職市場では、未経験だととっくにアウトな年齢なんです。選択肢がどんどんなくなっていく現状とちゃんと向き合って来なかったので、もう後に引けない部分もあります。それに映像にまつわる仕事との相性の良さも感じているので、俳優業は続けつつも、自分が食べる食物の分量くらいは把握しておきたい。1年でどれくらいの量の稲を植えたらいいのかわかっていれば、夏の極端な暑さや気候変動の問題も、より深く自分のこととして捉えられるのかなと思っています。

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斎藤工(さいとう・たくみ)

俳優/フィルムメイカー。主な出演作に映画『シン・ウルトラマン』、『新幹線大爆破』、『This is I』、『マジカル・シークレット・ツアー』ドラマに「極悪女王」、「誘拐の日」など。公開待機作に、『キングダム 魂の決戦』(7月17日公開)、『存在のすべてを』(2027年2月5日公開)。初長編監督作『blank13』は国内外の映画祭で8冠を獲得。企画・プロデューサーを務めるドキュメンタリー映画『大きな家』は、第34回日本批評家大賞ドキュメンタリー賞を受賞。永尾柚乃初監督作品『LITA』でもプロデュースを務める。また、全国の被災地等での移動映画館「Cinéma Bird」主宰、「Mini Theater Park」、白黒写真家など、活動は多岐にわたる。

Prime Originalドラマシリーズ『犯罪者』

白昼の駅前で起きた通り魔事件をきっかけに、刑事の相馬、生存者の青年・修司、元テレビマンの鑓水が出会う。警察、政治、巨大企業が絡む陰謀の真相を追いながら、「正義」と「悪」の境界に迫るクライム・ミステリー。

出演:高橋一生・斎藤工・水上恒司・ユースケ・サンタマリア・MEGUMI・青木崇高・チョン・イル・井上瑞稀(KEY TO LIT)/内野聖陽
原作:太田愛
監督:松永大司

2026年7月17日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信開始

▼衣装クレジット

ジャケット 69,300円、シャツ 49,500円、パンツ 38,500円以上全て(スズキ タカユキ/03-6419-7680)、シューズ スタイリスト私物

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