『白蛇抄』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得

小柳 会社は大反対だったんです。そりゃ、私がヌードになったり濡れ場を演じたりするなんて、渡辺プロにしてみれば、絶対許すはずがないじゃないですか。

近田 事務所を背負う存在だったんだもんね。

小柳 でも、この映画にはヌードも濡れ場も絶対に欠かせない。伊藤監督のことも100%信頼していましたしね。だから、映画の中身については、完全に事後報告でした。

近田 思い切ったねえ。

小柳 当時、私のレコードは、昔のようには売れなくなっていたんです。それで、ディレクターもマネージャーもいろいろと試行錯誤を重ねていた。ここは、私自身が水面に小石を投げて、波紋を立たせるしかないと覚悟したんです。

近田 その甲斐あって、ルミちゃんは、『白蛇抄』の熱演によって、見事に日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得します。

小柳 あの経験が、私を変えましたね。女優の目線から歌の仕事を見ると、素敵だなあって思えるし、歌い手としてのステージから女優の仕事を見ると、また素晴らしいなあって思わされる。両方が輝いて見えるようになったんですよ。

近田 まさに、二刀流をこなしてこその感慨だね。

小柳 私の場合、そこにダンスが加わる。自分の中では、その三刀流こそが、小柳ルミ子なんです。

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