「歌唱印税って何?」
小柳 そういえば私、歌唱印税ももらってなかったのよ。
近田 それもまたすごいな。歌唱印税っていうのは、レコードの売り上げの対価として、歌い手に支払われる著作権使用料のことだよね。
小柳 私、その存在自体を知らなくって。ある日、楽屋で南沙織ちゃんと話してたら、彼女が、「ルミ子ちゃん、歌唱印税っていくらもらってる?」って聞くのよ。「歌唱印税って何?」って問い返したら、「えっ、知らないの?」って目を丸くしてた。
近田 それ、デビューからどれぐらい経った頃のこと?
小柳 デビューの翌年だった。沙織ちゃんが「歌った人にお金が入るのよ」って説明してくれたから、当時の渡辺プロの制作部長だった松下治夫さんに「私には、歌唱印税っていただけないんですか」って聞いたら、「おっ、欲しいか?」なんて言う。
近田 「欲しいか」じゃないよね(笑)。当然の権利なんだから。
小柳 それで、5枚目のシングル「京のにわか雨」から、歌唱印税をもらうことになりました。
近田 それ以前に「わたしの城下町」「瀬戸の花嫁」といった大ヒットがあったわけだから、相当取りはぐれてるよね。他のナベプロの歌手も、歌唱印税をもらい損ねてたのかな。
小柳 いや、私だけが特別だったんじゃないかしら。渡辺プロの認識の中では、ルミ子なら文句言わないだろうっていう甘えみたいなものもあったんだと思う。
近田 80年代に入ると、歌手のみならず、本格的な映画女優としての活動にも踏み出すわけだよね。まず、1982年に『誘拐報道』で、主演の萩原健一の妻役に扮し、生活感あふれる演技でそれまでの小柳ルミ子とは違う側面を見せます。
小柳 『誘拐報道』のメガホンを取った伊藤俊也監督から、「次はルミ子ちゃん主演でやりたい」と声をかけられた作品が、翌年に公開される『白蛇抄』でした。
近田 あの映画は、センセーショナルな話題を呼んだよね。
