成績がいい故に“委員長”に抜擢

小柳 その子たちは、小学生の頃からずっと宝塚にお月謝払ってるわけだから、福岡からポッと出てきた私なんかに比べたら、どうしたって贔屓されるわけですよ。でも、彼女たちには絶対負けない自信があった。やっぱり、基礎から鍛錬を積んできたのは伊達じゃないと思いましたよ。

近田 そして、当然のごとく見事に合格を果たすわけだよね。

小柳 そこからが大変でした。

近田 宝塚音楽学校って、いろいろハードだとは聞くけど、何が大変だった?

小柳 やりたくもない委員長をやらされたわけですよ。要するに、入試の成績がよかったから、70人の同期を束ねる役を任されちゃったんです。

近田 それは重責だね。

小柳 70人の同期のうち、誰かが規則に違反すると、私が責任を取らなきゃならない。上級生に呼ばれて、こってり絞られるんです。何で人のことで私が怒られなきゃいけないのって、理不尽でしょうがなかったですね。

近田 確かに、自分が悪いことしたわけじゃないのにね。

小柳 しかも、私は中学を出て入学したけど、高校を出て入った同期もいるわけですよ。すると、15歳なのに、19歳のお姉さんを叱らなきゃいけなかったりする。この年頃だと、その年齢差って、結構大きいじゃないですか。

近田 3、4歳の開きが相当でかいもんね。それはしんどいわ。

小柳 しんどいでしょ。しかも、もしも私が何かルールやマナーに背いてたら、「あんただって違反してるじゃない?」って反論されて、こっちの言うことなんて聞いてくれない。だから、私が正しく生きてなきゃいけない。

近田 宝塚のモットー「清く正しく美しく」を地で行ったわけだね。

小柳 だから、私が宝塚で一番学んだことは、対人関係。芸事よりも何よりも、社会で生き抜くために必要なコミュニケーションの技術を、とことん習得しました。

近田 そうだったんだ。それで、入学してからも成績はよかったんでしょ?

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