「バカはね、有名になれんとよ」
近田 じゃあ、難産だったんだ。
小柳 子どもの頃、母と一緒にお風呂に入ると、13針ぐらいの大きな傷跡があるわけです。私、赤ちゃんはみんな、お腹を切って取り出すものだと思ってました。
近田 ようやく宝物に恵まれたという感覚だっただろうね。
小柳 ええ。母には、絶対に女の子を産んで、歌って踊れる歌手にしたいっていう夢があったんですよ。
近田 自分の果たせなかった望みを、一粒種に託したわけだ。
小柳 母は、若い頃に裁縫で生計を立てていたことがあったので、自分でデザインした洋服を縫い上げることができたんですよ。だから、私の洋服はみんな母のお手製、つまりオートクチュールだった。
近田 お稽古事の傍ら、学校にもきちんと通ってたわけでしょ?
小柳 そこなんですよ、うちの母のすごいところは。「バカはね、有名になれんとよ」って言って。だから、宿題は徹底的にやらされたし、勉強も教えてくれました。
近田 義務教育も抜かりないと。
小柳 そして、「あんたね、スターになったとしても偉いんじゃないからね。絶対に偉そうにするんじゃないからね」とも口酸っぱく言われました。そのおかげで、小学生にして、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を覚えちゃった(笑)。
近田 渋い子どもだね。
