母は人生の名プロデューサー

小柳 勉強や習い事のみならず、箸の上げ下ろし、靴の揃え方、挨拶の仕方……、暮らしの一挙一動に関しても、うるさいぐらいに細かく教え込まれたものです。

近田 躾も厳しかったんだ。

小柳 門限を破ると鍵をかけて家に入れてくれないし、約束を破って押し入れにぶち込まれたことも数知れない。

近田 なかなか大変な少女時代でしたねえ。

小柳 ただ、母が私に対して厳しく接したのは、15歳までのことでした。というのも、中学を卒業した私は、宝塚音楽学校に送り出されたから。それを見越して、15歳までに、母は、娘の人間形成を終えていなければならなかったんです。そこで自分の役割は終了だと完全に割り切っていました。

近田 引き際が潔い。計画的だったんだね。宝塚以外の選択肢は存在しなかったの?

小柳 もう一つ、ロシアに留学してバレリーナになるという考えもありました。ただ、母から「ルミ子ね、バレリーナじゃ日本では食べていけんとよ」と諭され、自分でも「まあそうだな」と思い、宝塚一本に志望を絞りました。

近田 当時、バレエに限らず、クラシックの世界は、もともと実家がお金持ちだったりしないと難しいところがあったもんね。

小柳 母は、私の人生を切り開いた名プロデューサーでしたね。今振り返れば、福岡時代に学んだことが、私のすべてのベースになっている。

近田 そして、いよいよ宝塚音楽学校を受験することになるわけだね。一体どんな入試なのか、興味深いよ。

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小柳 ルミ子(こやなぎ・るみこ)

1952年、福岡県生まれ。1970年に宝塚音楽学校を首席で卒業し、NHK連続テレビ小説「虹」で俳優デビュー。翌年、「わたしの城下町」で歌手デビューを果たす。その後、「瀬戸の花嫁」「お久しぶりね」など、ヒット曲を連発。デビュー55周年を記念し、2026年に発売された最新シングルは「愛は輪廻転生」。俳優としても、1983年に『誘拐報道』で第6回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、翌年に『白蛇抄』で第7回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、活躍を続ける。自らの健康美の秘密を明かした新刊『毎日少しずつ、柔らかい体になる! 健康美を叶える「ルミ子流ストレッチ」』(大和出版)も発売中。

近田春夫(ちかだ・はるお)

1951年東京都世田谷区出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、半世紀を超えるキャリアを総覧する『未体験白書』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。
X @ChikadaHaruo

毎日少しずつ、柔らかい体になる! 健康美を叶える「ルミ子流ストレッチ」

定価 1,980円(税込)
大和出版
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