人の温もりに満ちた、ローカル温浴施設

 カーニバルヒルズがオープンしたのは2006年。チェーン系の温浴施設は洗練されている反面、どこか似通ってしまいがち。しかし、ここは建物自体は年季が入っているものの、スタッフが積み重ねてきた手作りの温かさが館内の空気をやわらかくしている。

 オーナーをはじめ、地元のおばちゃんたちが明るく働き、訪れる人に気さくに声をかけてくれる。館内には健康や美容に良さそうな化粧品、黒酢、地元の野菜、そして生活感あふれる雑貨など、ジャンルを超えた商品も並んでいる。

 ローカルの温浴施設ならではの距離感がなんとも心地よくて、「また来よう」と思わせてくれる。

夢のお告げで見つけた、不思議な黒湯源泉

 カーニバルヒルズの源泉は、実はこの場所ではなく、隣の匝瑳(そうさ)市にある。社長の浅野由加さんの自宅の敷地から湧いているのだという。

 温泉の開湯伝説には「夢のお告げで見つかった」という話がつきものだが、ここも例外ではない。浅野さんが「夢で見て」掘り当てたというのだから驚きだ。

 匝瑳市といえば温泉のイメージがほとんどない地域。山間にある自宅の庭から、こんこんと湧き出す黒湯を、タンクローリーでカーニバルヒルズまで運んでいるという。

 「運び湯」と聞くと、「循環することで個性の薄い温泉になりがち」という先入観がある。しかし、ここの黒湯はそのイメージを良い意味で裏切ってくれた。湯船に身を沈めた瞬間、肌にまとわりつくようなとろみと、黒さに圧倒される。むしろ、運び湯とは思えないほどの個性とパワフルさを秘めていた。

 そして、お湯と同じくらい個性的なのが浅野社長の人生だ。東京の商売人の家に育ち、新卒で入社したのは芸能プロダクション。橋田壽賀子や家田荘子さんが所属する事務所で、シナリオライターや脚本家を目指していたという。

 その後、結婚を機に千葉へ移り住み、温泉施設の運営へとたどり着いた。その経験を生かして、館内では「魔女エリザベスの九星気学」(30分3,000円)という占いサービスまで提供している。

 さらに、カイロプラクティック、スポーツマッサージ、ヘアカット、BBQテラス、オートキャンプ場……。多彩なサービスが併設されているのも、地元密着の施設ならではの魅力だ。ペットが入れる黒湯まである。

 食事処のテーブルに座って天井を眺めると、天使のオブジェが目に入った。「オーナーは天使グッズがお好きなのかしら……?」と思ったが、理由を聞いてすぐに腑に落ちた。

 「ここはかつて、『銀座レカン』のパーティルームだった建物なのよ」と浅野さん。

 なるほど。天使たちは、バブルの名残だったのか。

100%源泉かけ流し! 月数回だけの「源泉デー」が狙い目

 ここを教えてくれた人がこう言っていた。

「『源泉デー』が一番いいんだよ。あの黒さは、本当に別格だから」

 カーニバルヒルズでは、月に4回ほど、不定期で「源泉デー」が設けられている。この日は100%源泉かけ流し。水で薄めていない、さらに濃い黒湯を堪能できる特別な日だ。

 光を吸い込むような深い黒。手を沈めると、指先がすぐに見えなくなる。つるりとした感触のあとに、まとわりつくような肌触り。露天風呂には、黒湯でよく見かける白い泡が浮かんでいる。

 2、3分浸かっているだけで体の芯までしっかり温まる。全身の血の巡りがぐっと良くなっていくのがわかるほどだ。体温が0.5℃上がるだけでも免疫力は高まると言われている。こんなお湯が家の近くにあったなら、きっと定期的に通ってしまうだろう。温熱効果は、想像以上にパワフルだ。

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