テキスタイルデザイナーの粟辻早重さん(92)は一人暮らしを謳歌中。「ムダなものは持たない」ことはとてもできないと語る彼女が行き着いた整理方法は「ところてん式」。エッセイ『92歳、好き放題で幸せづくし』(粟辻早重著/KADOKAWA)より一部を抜粋・転載します。

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「今ほしいもの」は手に入れていい

 最近、よく感じるんです。人生は一度きりなんだから、好きに生きなくちゃ! って。

 こんな大層なことをいつ思うのか? というと、お買い物をするときです。

 とても手が届かないほど高価なものは別ですが、私は「ほしいものは手に入れていい」と思っています。結婚したばかりでまだ生活が不安定だった頃、私がほしがったちょっとしたものを、夫に「ぜいたくだよ」と止められたことがあります。若い私は買えなかったことが悲しくて、下北沢の駅で泣いてしまいました。

 そんな時代もあったからでしょうか。好きなものに出会ったときは、「ほしい!」という気持ちを抑えこまなくてもいいんじゃない? というのが本音です。

 一緒に買い物に行ったとき、長女が服を買うかどうか迷っていたことがありました。ひと目で気に入ったようなのですが、「ちょっと高いかな? どう思う?」なんて、私に聞いてくるんです。

 私の答えはもちろん、「買いなさいよ!」。だって、ほしいと思った服は、今の自分が着たい服のはずです。「ぜいたくすぎるから」なんて理由でガマンしても未練は残ります。お金に余裕ができてからあらためて買ったとしても、そのときにはもう似合わなくなっているかもしれません。

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