エサを取り出すまで諦めないシンシン

 環境エンリッチメントへの反応は、パンダによってさまざまだ。上野動物園でパンダを飼育していた石神雄大さんは、環境エンリッチメントに取り組むうえで「個体の性格や行動に合わせて難易度を調整することが大切だと考えています」と、同園が2025年10月26日に開催した講演会で述べた。

 石神さんによると、リーリーは比較的すぐ諦める性格。複雑な仕掛けには全然取り組まず、途中でもやめてしまう。そのため上野動物園では、麻袋でエサを包むといったシンプルなエンリッチメントを中心にしていた。シャオシャオも最初は興味を示さず、取り組まないことが多かったが、難易度を少しずつ上げていくと、使い慣れたアイテムには積極的に取り組むようになった。

 他方、レイレイ、シャンシャン、シンシンは「器用で、集中力がとても高い印象があります。特にシンシンは、どんなに難しくても最後まで諦めず、時には装置を壊してでも、中のエサを取り出すことがありました」(石神さん)。

歩き回る途中でのけぞる

 上野動物園は双子に対し、シャンシャンよりもフィーダーの種類を増やすなど、環境エンリッチメントをより積極的に実施した。その一因は、双子が歩き回ることがあったため。「シャオシャオとレイレイは、竹の選り好みが強く、好みではない竹だと、歩き回りが増えるといった傾向が見られました。この歩き回りは、刺激不足やストレスのサインになり得る、望ましくない状態だと私たちは認識しています」(石神さん)。

 筆者が2024年5月に取材した頃は、レイレイが後ろに歩き、シャオシャオがのけぞるような動きをすることがあり、上野動物園は常同行動だと考えていた(参照:高血圧のシンシンの「パンダ団子」は 黄身抜き、双子の生活は別々に… 上野動物園の“親子パンダ4頭”の今)。その後も時おり双子がのけぞっていたので、2026年1月に再び尋ねたところ「常同行動だと認識しています。 2 頭とも、歩き回る途中で発現することがほとんどです」(上野動物園教育普及係)とのことだった。

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