世紀を超えて愛される花器、アアルトベース
フィンランドを代表する近代建築、そしてデザインの巨匠であるアルヴァ・アアルトが、1936年に発表したフラワーベースです。フィンランド語で波を表す「アアルト」の名前にふさわしい、流れるようなフォルム。20世紀の匠が生んだ傑作は、21世紀の今も、イッタラの工房で職人の手吹きによって製作されています。
「アアルトの建築もプロダクトも好きです。だから、このフラワーベースは長年の憧れの品でもありました。花器なのに、何も活けずにただ置いてあるだけで美しい。だからこそ最初は、“どうやって活けるんだろう”とも思いました。何度か活けているうちに、意外と深く考えなくても決まることに気付いたので、今は気軽に使っています。どの向きを正面にしても素敵。プロダクトの完成度の高さを感じます」
菊池さんの暮らしを垣間見て、「製品は作られたときに完成するのではなく、使っていくうちにその人の暮らしの中で完成する」ことを、目の当たりにしました。育っていく製品の背景には作った人の物語があり、使い込むにつれ自分たちの物語が刻まれていく。
そして、そうした余白を持った品々を見極める菊池さんが束ねるお花もまた、祈りや願いに似た余白があることを思い出しました。
文=松山あれい 撮影=平松市聖

