アシカの赤ちゃんの好奇心いっぱいの瞳

無条件にかわいいアシカの赤ちゃん。9~11月にロスイスロテスへ行くと、遊んでくれます。

 おまけに、細長い半島が太平洋の冷たい寒流やうねりをブロックし、ここに暮らす海の生物たちにとっては、まるで揺りかごの中にいるようなもの。一方で、どん詰まりになった地形からか、“世界最大のフィッシュ・トラップ”とも呼ばれているそうです。

ラパスの中心地から5キロ離れた、唯一のオンザビーチに位置するラ・コンチャ・ビーチリゾート。ダイビングサービスを併設。

 世界自然遺産のこの海域には、世界にいるコククジラの半数以上の2000頭が生息しているとか(タッチすることもできます)。また、太平洋の魚や固有種も多く、日本では見られない、あるいは似ているけれどどこか違う魚たちが、うようよと泳いでいるのです。

海に入った途端、俊敏に泳ぎまわるアシカたち。

 ラパスの代名詞的ダイビング・スポットは、ボートで約1時間半の岩礁ロスイスロテス。ここには約200頭ものカリフォルニア・アシカの巨大コロニーがあります。

 船が近づくにつれ、「アウッ、アウッ」と、鳴き声があちこちから響いてきます。平坦な岩場に巨体を横たえて怠惰に横目だけで一瞥するものもいれば、首を振り振り鼻で空を突こうとしているようなものも。陸上ではどうもドンくさい動きながら、水中に入ると、水を得た魚(アシカ!)のように、縦横無尽に飛ぶように泳ぐ、そのギャップの激しいこと!

 アシカの赤ちゃんが誕生するのは5~6月ですが、訪れた9月頃はちょうど、外界へ興味を持ち出す時期。好奇心いっぱいの瞳でダイバーに近寄ってきます。

 くるりと宙返りしてはあっちへビュンと泳ぎ去り、行ったと思えばすぐに戻ってきて、顔を覗き込んできたり、目の前のアシカに気を取られていると、背後から迫ってきた子にフィンを引っ張られたり。スノーケルやフィン、ダイバーが吐く泡までも遊び道具に変えてしまうアシカの子供たち。遊びの天才ですね!

 でも、あまり近寄りすぎると、大ボスのようなお父さんアシカが「喝!」と、威嚇してきます。お父さんの周辺にはやさしい顔をしたお母さんアシカたちが取り巻いていて、どうやらハーレムのようです。

2016.01.23(土)
文=古関千恵子
撮影=鍵井靖章