温泉街の魅力を引き出す撮影のコツ その1
「懐かしいものを見つける力を鍛えよう」

水面に映った柳と鯉。水面を利用した写真は昼夜通して面白い写り込みが撮れるので、いつも気にして見る癖をつけよう。

 温泉街で何を撮ろうと悩む人も多いと思う。そんな人にオススメするのは懐かしいもの探しである。

新しいパラボラアンテナと古い電灯。こういう新旧の混在は温泉街ならではの写真。
コウノトリで有名な豊岡市だがサギもたくさんいる。川で打たせ湯中のサギ!?

 日本各地の温泉街はどこも長い歴史を持っており、古き良きものの宝庫なのだ。1300年の歴史がある城崎温泉も、木造3階建ての建築物や街の中央を流れる大谿川、フォトジェニックな石橋、ほどよく成長した柳、射的場、神社仏閣などがある。

外湯めぐりのスタンプ。鴻の湯、まんだら湯、御所の湯、一の湯、柳湯、地蔵湯、さとの湯と全部で7つある。スタンプに貼られた文字がそれぞれ違っていて面白い。こんな小さな気付きも撮影の時には大事。
射的遊技場は夜7時頃からオープンする。外湯めぐりの途中に寄ると、火照った体を再び熱くすることになる射的。打った人形の数でもらえる商品が違う。

 まずはくまなく街を歩くこと。レンズは24~100ミリ程度のズームレンズが便利である。ホワイトバランスは晴天モード、夕方からはAUTOモードに切り替えてキョロキョロ挙動不審者になりきるべし! 歩いて見つける力が大事なのである。そして見つけたらきちんと自分の感性と想像力で画面を切り取ることを忘れずに~。

左:コウノトリではなくオケノトリ。桶の上にいる温泉ならではの鳥。
右:手作り感満載のコウノトリの看板。背後にいる酔っぱらったタヌキおやじを守る真面目な小学生っぽいコウノトリがかわいい。
城崎国際アートセンターにある移動式図書館(ブックディレクター幅允孝氏によるプロデュース)。ここは舞台芸術を中心とした活動とその活動家たちに創作の場を提供している。毎日温泉に入りながら創作できるなんて! 夢のような場所。

2015.11.25(水)
文・撮影=山口規子