【次に流行るもう一曲】
Anly「太陽に笑え」

沖縄の離島・伊江島出身のシンガーソングライター

伊藤 2曲目は女性シンガーソングライターAnlyのメジャーデビューシングル「太陽に笑え」です。沖縄の離島出身で中学を卒業するまでインターネットのない生活をしていたという、今どき珍しい18歳。

山口 やはり沖縄はシンガーの宝庫。インターネットのない生活が売りというのも面白い。まさに逆張りの発想ですね。

伊藤 デビューシングルでドラマの主題歌。最近よく聞きますけど、ちょっと前まではシンガーソングライターのデビュー作で主題歌なんて簡単には取れなかったですよね? いまの傾向として、ドラマの主題歌をデビューのプロモーションに使うのが主流になったのか、女性シンガーソングライターが期待されているのか? 個人的にはアイドルの次は女性シンガーソングライターの時代、もう扉は開いていますけど。

山口 アイドルブームもさすがに飽和していますね。頑張る女の子を応援する男たちという構図が、女性シンガーソングライターに向けられると、以前とは違うアーティストとファンの距離感になっていくのかなと思っています。作品性まで含めて応援する方が、エンゲージメントは深まるでしょうしね。

伊藤 だと思います。Anlyもその期待感を漂わせるシンガーソングライター。とにかく10代とは思えないソウルフルな歌声で、ロックがよく似合ってる。インターネットのない生活の中、父親が好きだったブルースやロックのCDを聴いて育ったというから、このソウルフルな歌声もロックサウンドも必然。ただ今だったら、この声をエレクトロなサウンドに乗せてどんな化学変化が起こるか試してみたい、とクリエイター視点では思いました。そのくらいソングライターとしてだけでなく、声単体で聴いてもすごい魅力を持っていますね。

山口 魅力的な声ですね。ライブで聴いてみたいです。

Anly「太陽に笑え」
ソニー・ミュージックレコーズ 2015年11月25日発売
通常盤[CD]1,165円、初回生産限定盤[CD+DVD]1,500円
■Anlyは、沖縄本島からフェリーで30分の海に浮かぶ人口5000人足らずの離島、伊江島出身の18歳。PCもインターネットもない環境の中、音楽好きの父が持ち帰るブルースやロックのCDを聴き、ギターをおもちゃ代わりに爪弾く日々を過ごしたという。表題曲は関西テレビ・フジテレビ系ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」の主題歌。
■「太陽に笑え」作詞・作曲/Anly 編曲/根岸孝旨
■オフィシャルサイトURL http://www.anly-singer.com/

【動画サイト】
「太陽に笑え」

URL https://www.youtube.com/watch?v=Z933UciHHpY

山口哲一 (やまぐち のりかず)
(株)バグ・コーポレーション代表取締役、音楽プロデューサー・コンテンツビジネスエバンジェリスト。
「デジタルコンテンツ白書」(経産省監修)編集委員。アーティストマネージメントからITビジネスに専門領域を広げ、2011年から著作活動も始める。エンタメ系スタートアップを対象としたアワード「START ME UP AWARDS」をオーガナイズ。プロ作曲家育成「山口ゼミ」や「ニューミドルマン養成講座」を主宰するなど次世代の育成にも精力的に取り組んでいる。異業種横断型のプロデューサー。著書に『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す』(ローソンHMV)、『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック・共著)、『とびきり愛される女性になる~恋愛ソングから学ぶ魔法のフレーズ』(ローソンHMV・共著/「ラブソングラボ」名義)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行っていること』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 ~起業という選択~』(スペースシャワーブックス)『プロ直伝!職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略~“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネス~』(リットーミュージック・共著)、『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本 』(ダイヤモンド社・共著)がある。
Twitter@yamabug https://twitter.com/yamabug
ブログ「いまだタイトル決めれず」 http://yamabug.blogspot.jp/
作曲家育成セミナー「山口ゼミ」 http://www.tcpl.jp/openschool/yamaguchi.html

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。「青春アミーゴ」などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」、AKB48「ここにいたこと」などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。著書に『作詞力 ウケル・イケテル・カシカケル』(リットーミュージック)、山口哲一との共著に『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック)がある。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
http://www.mago-dai.com/?p=778

Column

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

2015.11.13(金)
文=山口哲一、伊藤涼