LOVE:いも串
群馬のソウルおやつ

群馬県・吉岡町|鹿火屋

 先日、所用で群馬に行くことになった。群馬といえば高崎師匠! 以前、「登利平」を紹介してくれた、尊敬する高崎人である。

 群馬を旅行する旨を伝え、また指南を請うと、たっぷりと教えてくれるさすが高崎師匠。水沢うどんのおすすめやピザ屋さんを紹介してくれたなかに、「子供のときはおやつのいも串が楽しみでした」という一文。……いも串? 聞き覚えのないワードが私のハートに突き刺さる(串だけに)。なにか惹かれる! これは行かねば&食べねば!

行った当時はまだ青々としていた木々。そろそろ紅葉かも。

 カーナビに「いも串」の店「鹿火屋」の住所を入れて、いざ出発。車を走らせているとiPhoneに「いも串はまだないかも。その代わり焼きとうもろこしがあると思われます」という悲報が届いた。ううう、いも串初体験ができないのは悲しい、でも、焼きとうもろこしも大好物。というわけで気を取り直して、群馬に車を走らせる。

 景色がかなり山深くなりはじめた頃、カーナビが「目的地に着きました」。「鹿火屋」は水沢街道沿いに、ずーっと同じ場所で、同じように営業してきたことを思わせてくれる、時空を超えた雰囲気の一軒家だ。まだ季節的に「氷」の旗も翻る、なんて素朴な風情。旅気分がぐんと盛り上がる建物ではないか。なんと駐車場の横では水車がくるくる回り、ほのぼの。

左:店内にあるいろり。この日は暖かかったので火はなかった。冬場は天国。
右:中はお座敷。子供がはしゃぎたくなる造り。

 開店直後のお店にいそいそと入ると、中央にはいろり。そして、畳の座敷があり、好きなところに座れるシステム。お店の入り口で食べ物を買って、席に持っていくようだ。

 窓口で「いも串はまだないですもんね~、残念だわ~」と知ったかぶる私。するとどうでしょう、「いも串は今日からですよ!」と言うではないか! なんということでしょう、私が2015年度いも串の初客となったのだ! しかも幸運は続く。いも串と入れ違いで焼きとうもろこしは終わったと思いきや、ほんの短い間だけ、いも串と焼きとうもろこしを両方食べられる期間があり、まさにそこに当たったというのである。

小ぶりの芋を蒸すか焼くかしてやわらかくしたあと焼くと思われる。
いも串に使われるらしき里芋が置かれていた。小ぶりで粒ぞろい。

2015.11.18(水)
文・撮影=北條芽以