クアラルンプールの語源は「泥の川の交わる所」
KLシティ・ギャラリーの並びには「国立音楽博物館」や「国立テキスタイル博物館」など、20世紀初頭に建てられた建物が続く。
いずれもアーチの形やドームなどがムガル帝国の建築様式を見せてエキゾチック。国立テキスタイル博物館では、マレーシアのバティック(ろうけつ染め)の方法や各民族の衣装、州の君主であるスルタンの服の見事な刺繍などが展示されている。
マレーシア語でクアラルンプールは「泥の川の交わる所」という意味。この語源となった2つの川が合流する地点には、「ジャメ・モスク」が立つ。当時は、合流した川を挟んで左岸には英国の、右岸には中国の所有する建物が立っていたという。ジャメ・モスクは、セランゴール州のスルタンが建てたのだが、建築家はなんとA・B・ハバックという英国人。マレーシアが古くから多様性を持っていたことが窺える場所だ。
右:地面には馬止めの跡が残る。
大通りに立つ美しいレンガの建物は「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル」。こちらも英国の建築家A・C・ノーマンによるもので、1897年に完成した当初は連邦事務局が入っていた。約41メートルの時計台とムーア様式のドームが対をなすレンガのビルは、当時のままの姿を今にとどめて実に優雅。中にマレーシア政府観光局のインフォメーション・センターがある。
2015.09.01(火)
文・撮影=小野アムスデン道子