夜中に食べる罪深き濃厚な味
ミーゴレンはマレーシアのいたるところで食べることができますが、私がマレーシアでもっともミーゴレンを食べる場所、それは「ママッレストラン」と呼ばれるレストランです。はて? 「ママッ」とは? マレーシアには、インドから移民してきたヒンドゥー教信者とイスラム教信者の大きく二つのインド系マレーシア人が暮らしていますが、イスラム教を信仰するインド系マレーシア人を「ママッ」という総称で呼び、彼らが集い、イスラム教の戒律に添った食事ができるお店が「ママッレストラン」なのです。
ママッのミーゴレンの最大の特徴は、卵とじのような炒め方とその濃厚な仕上がり具合。インド系の人が好むスパイスを多用した辛みの強い麺に溶き卵が絡みついていて、ちょっとネットリとした濃厚な麺が出来上がります。必ず添えられてくるリマウ・カストゥリというライムをぎゅーっと搾り、酸味を加えていただきます。酸味がオイリーさを緩和しながらも、暑い気候にもぴったりなスパイシーでパンチのある味わいなのです。
24時間営業が多いママッレストラン。こんな時間にこってりとしたごはんなんて……と思うような深夜に、ついつい頼んでしまう、たっぷりの油で炒めた濃厚なミーゴレン。そして、スパイシーな食事にはやっぱり甘い飲み物が欲しい……、と一緒にオーダーする練乳たっぷりの甘~いテ・タレ(マレーシアミルクティー)。カロリーを考えたら危険極まりない組み合わせなのですが、分かっていながらも……。そんな魅力を秘めた罪深き濃厚なマレーシアごはん、それがママッレストランのミーゴレンなのです。
2015.07.23(木)
文=三浦菜穂子
写真=三浦菜穂子、古川 音