『トゥームレイダー』で注目を浴びた遺跡の絶景とは

石をも崩す自然の樹木の生命力に驚きのタプロム遺跡。修復作業も行われているが、ここまで一体化した景観をどう遺すかは、思案のしどころで、論議は尽きないらしい。

 アンコール遺跡群にはまだまだ数多の遺跡があるのだが、近年、映画『トゥームレイダー』のおかげで人気なのが、タプロム遺跡。バイヨン寺院と同時期に建てられた王さまの住まいで、ここには12640人の召使いと79356人の住民がいたと記す石碑が残っている。ガジュマルの大木が、這うように遺跡に侵食する様子は圧巻。ドラマチックな自然の驚異と脅威を感じさせる遺跡だ。

石積みの間にスルリと入り込み、根を太らせて巨大化するガジュマル。「精霊の宿る木」ということで、容易には伐採もできないが、このままでは遺跡は確実に崩壊する。
タプロム遺跡にある恐竜、ステゴザウルスのレリーフ。日本の鎌倉時代にあたるクメール王朝時代に、こんな恐竜の姿を認識していたとは! なんともロマン。そしてなんとも愛らしい恐竜の姿。1000ものレリーフがあるといわれるアンコール遺跡でも、恐竜レリーフはこれだけだそう。

 1000もの遺跡があるといわれるシェムリアップ。すべての遺跡を見ることはなかなか難しいが、いくつかの遺跡を訪れて、アンコール様式やバイヨン様式といった建築様式の違いを比べるのも楽しい。さすが、世界で最も人気のある観光スポットなのだ。

2015.06.23(火)
文・撮影=大沢さつき