奥野 愛さん
家族:長男 頼くん1歳8カ月
会社名:株式会社ランクアップ
勤務体制:8:30~17:30フルタイム(ただし、仕事が終われば17:00退社)
部署:宣伝部
取材先の会社を訪れると、たくさんの女性が実にキビキビと働いており、挨拶もにこやかで清々しい「気」が流れているのを感じた。
この日取材した奥野さんは、そんなオフィスで働くワーママだ。1歳8カ月の子どもを一人で育てながらフルタイム勤務を続けている。
株式会社ランクアップ(以下ランクアップ)は、マナラ化粧品の通販を行っている会社だ。奥野さんはその宣伝部に属し、TV媒体担当として新規顧客獲得に従事していたが、この春からは全国のバラエティショップで店頭販売を開始、そのプロジェクトリーダーとして、一人で幅広い業務をこなしている。
それにしてもランクアップは不思議な会社だ。95%が女性で、そのうち半数はワーママというのに離職率は極めて低い。
ワーママと非ワーママの対立もなく、お互いが助け合って仕事をしているという。なぜか。奥野さんによれば「ワーママに対する支援は、時短だけではなく、ワーママも非ワーママも仕事の内容や量に差をつけていないこと」だという。
どういうことだろうか?
ランクアップの就業は8時半から5時半まで。なんと仕事が終われば30分早く帰っていいという規則がある。そういった制度はワーママも非ワーママも平等だ。
一方で、ベビーシッター制度が完備されており、提携するベビーシッター会社の利用で、自己負担は1日あたり300円のみ。つまり、時短制度より、ワーママが休まずにすむ制度が充実しているのだ。子どもが何日かに及ぶ病気にかかったときなどにベビーシッターに気軽に頼めるということは、ありがたい。
さらに、「提案制度」というものがあり、どんなアイデアでも提出すれば500円がもらえる。その制度によって、リラックスルームが生まれ、お昼寝できるスペースが生まれた。他にもワーママにとって働きやすい数々の環境が生み出されている。
ワーママが次々と出す提案を、非ワーママが「私たちがワーママになるときまでにもっと職場をよくして!」と後押ししてくれるような雰囲気さえあるという。
こういった環境を整えることは、財政的に豊かな会社だからできるのだろうか?
そうではない。こういった環境を整えることで、社員全体のモチベーションがあがり、離職率が減り、会社のために一生懸命働き、長年勤めてくれる社員が増えれば、長い目で見れば経済的といえるのだろう。
奥野さんは「この会社でなければ、自分は子どもを育てながら働けなかっただろう」と感じ、とても会社に感謝し、集中力を高めて毎日仕事に取り組んでいる。
提案制度によって、「今の状況をどう変えたら、より良いものになるのか」を生活の場でも仕事の場でも常に考える癖がついたという。そのことも仕事の効率、モチベーションをアップさせるのに役立っているようだ。
2015.06.25(木)
文・撮影=HITOMINA