かつて文豪が暮らした旧宅には愛犬たちの墓も
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/-/img_bcc59712001abd5be16ceedc4419a4ef80384.jpg)
ヨーロッパやカナダからの観光客で賑わうハバナも、郊外に出たとたん、素朴な雰囲気に変わる。途中、故障して立ち往生する車に出会うこと3回。ときどき見かける立派な建物は病院だ。医療と教育を大切にしているキューバでは、市民の医療費は無料なのだそう。簡素な集合住宅が立ち並ぶエリアを抜けて、海の香りがしてきたら、まもなくコヒマルだ。
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/6/-/img_9604e0115a9fa1df3dd8fdbd7d1f311998347.jpg)
ヘミングウェイがたびたび訪ねていたのが、レストラン「ラ・テラサ」。釣りの後、ここでトマト風味のシーフード煮込みを頼むのが楽しみだったという。彼がいつも座っていたという、コヒマル湾を一望するテーブルは、今でもヘミングウェイの「特別席」。壁には、有名な釣りの大会「ヘミングウェイ・カップ」で、賞を手に喜ぶカストロ議長とヘミングウェイのツーショット写真も飾られている。
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/-/img_c6da3bffa2a7a6ed60d078b624909e6d57186.jpg)
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/0/-/img_d0d9bfe2e9d657f5634549d3de12bf5a73282.jpg)
コヒマルには、ヘミングウェイが暮らしていた家もある。フィンカ・ビヒア邸と呼ばれていた自宅は、今はヘミングウェイ博物館に。1万冊近い蔵書のある書斎や執筆をした机、愛犬たちの墓のほか、裏庭には愛艇「ピラール号」も展示されている。お掃除のお姉さんがチップをねだるのはご愛嬌。外国人観光客が訪れる場所では、こんなこともある。
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/9/-/img_69c9e92ade06fea4d75aa7cf36fba7a180115.jpg)
地元の人たちから「パパ」の愛称で親しまれていたヘミングウェイ。コヒマルには彼の胸像が立っているが、これはヘミングウェイが自殺した後、地元の漁師たちが船のスクリューなど材料を出し合って、彫刻家に作ってもらったものなのだそう。
![](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/-/img_a92ab93c766b3963ca02466c97d70ac796276.jpg)
ちなみに、『老人と海』は、この村に暮らしていた漁師のグレゴリオ・フエンテスさんをモデルにした小説。グレゴリオさんは2002年に104歳で亡くなるまで、ここコヒマルに暮らしていた。
2015.05.19(火)
文・撮影=芹澤和美