お皿のすべてをレンズに収める必要はない!

クロゴリスタザというパスタ。

 第四に、大きなお皿は思い切って切り落とすべし。

 特にフランス料理などでは大きなお皿の真ん中に一口で食べられそうな上品で小さな料理が載っていることが多い。この場合は思い切ってお皿を切ること。「私はお皿を撮っているのではありません。あくまでも料理を撮っています!」と宣言するためにも潔くお皿は切る。

アマレッティは苦アーモンドの粉で作ったお菓子。

 「あ! お皿が切れちゃった!」などといっているあなた、それは欲張りというもの。写真はマイナス法。欲張りすぎるとポイントがはっきり見えなくなるのだ。これは人生でも同じことが言える。あれもこれもと欲張っているといつの間にか大事なものがわからなくなってくる。潔く切り落とす訓練を写真から学ぼう!

左:ビアンキーニは、ちっちゃな白という意味のお菓子。
右:季節の野菜をたっぷり入れたパナディーナ。

 あっと脱線しないうちに最後にもう一つ。第五に精神的な訓練。

 必ず「美味しそう!」と心の中でつぶやいてシャッターを切る。この心がないと美味しそうに撮れないのだ(これ本当の話)。その結果いえることは、食に興味のない人には料理は美味しそうに撮ることができないということ。食に興味がない人はきっぱり料理写真をあきらめて、即食べるに限るなり。

2015.04.26(日)
文・撮影=山口規子