絶景レストラン、そのお得な楽しみ方

 ルネッサンス芸術が生まれた花の都、フィレンツェ。華やかな芸術に彩られたこの町は、町自体が世界遺産に登録されています。その美しい町をまるで自分のもののように眺めながら食事ができる素敵なレストランをご紹介します。

レストランのテラスより。全面ガラス張りのレストランとその前にはゆったり流れるアルノ川。ポンテベッキオも見える。

 町の中心を流れるアルノ川沿いにある5ツ星ホテル「ウェスティン・エクセルシオール・フィレンツェ」の最上階にあるレストラン「SE・STO on Arno」。テラス席からはもちろん、全面ガラス張りのフロアからも、まるで芸術品のように美しいフィレンツェの町が一望できます。ゆったりと流れるアルノ川、中世の面影を残す美しい町並み、世界で最も美しい橋のひとつにあげられるポンテベッキオ、ルネッサンス建築の至宝サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、そのすべてを眺められるのだから、こんな贅沢はありません。

レストランから見たフィレンツェのシンボル、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とジョットの鐘楼。

 そんな素敵なレストラン、さぞかしお高いのではとお思いでしょう。優雅に過ごすディナーは高級なのですが、でも、ランチやアペリティーボタイムは比較的リーズナブルなお値段のメニューがあるのです。

レストランの大きな窓から見える町並みはまるで美しい絵画のよう。

 アペリティーボは19:00~21:00の間、軽食のビュッフェに1ドリンク付いて18ユーロで利用できます。夏はちょうど日没の時間帯ですので、のんびりグラスを傾けつつ、夕暮れに染まるフィレンツェの町を眺めれば、それはもう至極の時間です。

左:ランチコースのメニュー「パレルモ」。グラスワインとともに。
右:ランチコースについてくる自家製パンも見逃せないおいしさ。

 ランチタイムには、単品で頼めるランチメニューのほかに、メインディッシュ、グラスワイン、デザート、コーヒー、パン、水がついて28ユーロのランチコースもあります。「イオ・リコルド(Io ricordo...)」というタイトルのついたこのコースは、シェフが素材からイメージした町の名前がつけられたユニークなもの。その町をイメージしながらメニューを見るだけでも楽しくなります。

 私もこのランチコースをいただきましたが、美しく華やかな料理で、味は素材のおいしさを際立たせるように構成された繊細な気遣いを感じられる、やさしい味わいでした。こんなおいしい料理を、絶景を眺めながらのんびりいただく、ああもう幸せです。

 そんなアイディアあふれるメニューを手がけるシェフは実は女性。女性ならではの柔らかな感覚、そのおいしさのひみつに迫ります。

文・撮影=藤原亮子