イタリアで増えているグルテン不耐症の恐怖
小麦などの穀物に含まれる成分のひとつ、グルテン。パスタやパンに多く含まれ、コシやもちもち感など「美味しさ」を生み出す一方で、アレルギーやセリアック病の原因にもなることで知られています。グルテンに対するアレルギーを持つ人の数は世界的に増加傾向にあり、2014年秋に開催された「グルテンフリー・エキスポ」によれば、イタリアでも年間10%の割合で増加。イタリア人100人のうち1人がセリアック病を発症しているそうです。
最近では、アレルギーではないけれどグルテンを含む食品を摂取すると不快症状が現れる「グルテン不耐症」にも注目が高まっています。その症状には、セリアック病に似た重篤な症状を示すものから、腹部膨満感、頭痛、精神的に不安定になる、体重増加(!)など、誰もが「言われてみれば、そんな気がする」といったライトな症状までさまざま。その検査方法は、数週間から数カ月、グルテン抜きの食生活をしてみて体調が改善されるか否かで判断するという消極的な方法が一般的です。そのため、「もしや?」と思わなくもない症状から自己判断する人も増え、巷を見渡せば、「自称グルテン不耐症者」がいたるところに。昨日までは、美味しそうにパスタを食べていたのに……。
右:大手メーカーのパスタも“Senza Glutine(グルテンフリー)”に参入。
遺伝子組み換え小麦や農薬がその原因のひとつとも言われるため、パスタやパンを日常的に食するイタリア人にとっては由々しき問題で注目せざるを得ないのはわかりますが、もはやグルテンアレルギーに対するアレルギー。グルテン恐怖が蔓延しているような状況です。
そのおかげ(?)で、グルテンフリー食品市場は2桁台の急成長を遂げており、その市場規模は、2億3700万ユーロ(約350億円)にまで拡大したといわれています。薬局、エリボリステリア(ハーブ専門店)、BIO系マーケットなどはもちろん、普段使いのスーパーマーケットにもコーナーが出現。専門店も続々とオープンし、ますます身近な存在になっています。
文・撮影=岩田デノーラ砂和子