Magnificent View #543
聖ギオルギス教会(エチオピア)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 エチオピアの北部にあるラリベラの街には、エルサレムにあるものを模した建物や、聖書に出てくる地名が多い。これは、1187年にエルサレムがイスラム教徒に占領された際、当時の王ラリベラが、この地を「新たなエルサレム」にしようと試みたからだ。

 第二のエルサレムとして築かれたラリベラには、巨大な一枚岩を掘り下げて築かれた11もの教会が残る。世界遺産にも登録されている、ラリベラの岩窟教会群だ。

 ご覧の写真は、教会群で最後にできた聖ギオルギス教会。高さ、奥行き、幅がそれぞれ12メートルの十字架の形が残るように、周囲の岩を掘り下げて造られている。さらに、教会の内部も岩をくり抜いた構造で、柱は一本も使用されていない。伝説によると、ほかの10の教会が掘られた後、ラリベラ王の夢枕に聖人ゲオルギウスが現れ、この教会を造るように命じたのだという。

 現在もキリスト教信仰の地となっている、ラリベラ。クリスマスの大祭には全国から6万人を超える巡礼者がここをめざす。

Column

今日の絶景

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2015.03.27(金)
文=芹澤和美