BOUCHERON
「リフレ」のウォッチ
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時計やジュエリーには、「名品」と呼ばれる、時を超えて愛されるデザインがあります。私にとって、タイムレスなアイテムとして真っ先に思いつくもののひとつが、ブシュロンの時計「リフレ」とスネークをモチーフにした「セルパンボエム」。「リフレ」は1947年、「セルパンボエム」は1968年に登場して以来、時代に合わせて少しずつ進化してきたベストセラー。クラシカルでありながら、大衆的になりすぎず、ひねりのあるデザインなのも私好みです。
「リフレ」と「セルパンボエム」は、上品だけれど媚びない色香が漂う「大人の女」のためのアイテム。このイメージにぴったりの洋服は? と考えた時、最初に思い浮かんだのがトレンチコートです。ジュエリーと洋服はテイストを合わせることがとても大事で、それぞれの個性が合わないとちぐはぐな印象になってしまいます。時代を超えた「名品」であるが故に、コーディネートを間違えると古くさい印象にもなるので注意が必要。女性像をイメージしながら全身のバランスを考えていくのは、スタイル作りに欠かせないことなのです。
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伊藤さんが想像する、トレンチの手元にブシュロンをつけている女性は、どこか謎めいた魅力のある人。これから“何かある”ことを予感させながら足早に去っていく……そんな風に、具体的な女性像をイメージしつつ、トータルでお洒落を楽しむことが、ひいてはセンスを磨くことに繫がる。
伊藤美佐季(いとうみさき)
ジュエリーディレクター。30代でイタリアに遊学、帰国後スタイリストに。ジュエリーや洋服のスタイリングのほか、ジュエリーに関する講演なども行う。
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Column
伊藤美佐季のジュエリーのある人生
ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。
2014.12.31(水)
photographs=Masashi Ikuta(makiura office)
styling=Misaki Ito
hair=ABE(M)
make-up=FUSAKO(ota office)
model=Rita
text=Miwako Yuzawa
CREA 2014年12月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。