すぐ近くにあるバリ島とは違った生物相が見られる

ギリ・トラワンガンの東と北ではスノーケリング、南ではサーフィンが楽しめます。

 ギリ3島が行政的に属するロンボク島と、目に見える距離にあるバリ島の間には、見えないウォレス線という生物相の境界線が走っています。バリ島側はスマトラ島やジャワ島などのアジア系、ギリ3島を含むロンボク島側はオーストラリア系の動植物に分かれているのです。興味深いことに、民族や文化的にも、この2つの島の間には違いがあります。

ギリ・トラワンガンの宿泊施設には格安バンガローからプール付きのリゾートも。

 ギリ・トラワンガンにはバンガローのみならず、ブティック系リゾートもあります。

 が、その多くは井戸水や海水をたよりにしたもの。真水はロンボク島から船で運んでくるため、海況次第では遅れることもあるとか。

 私のステイ先もバスルームは海水を使い、脇に真水をためた水がめが置かれていました。滞在初日は水がめの存在意味がわからず(アジア各地で見られるトイレ用と勘違い)、シャワーを浴びても、歯を磨いても、べたべた。水がめの真水で海水を洗い流せばいいと知ってからは、快適でしたが。

ギリ・メノーの透明度は船が宙に浮いて見えるほど!

 日本では当たり前な“蛇口をひねれば真水が出る”のはありがたいことで、こと離島での水の大切さを痛感しました。ちなみに比較的最近できたホテルチェーン系リゾートは、真水シャワーを売りにしているそうです。

ギリ・メノーの海ガメ保護施設。シートを張ったプールで子ガメたちのケアを行っています。

 3島のうち最も小さなギリ・メノーは、さらに自然の豊かさが増し、海の透明度もアップ。こちらにいるとのんびりとしたギリ・トラワンガンでさえ、いっぱしの観光地に思えるほどです。海ガメ保護施設もありますが、ビーチにビニールシートで作ったプールをいくつか並べた簡素さ。あるもので用をたす、離島の暮らしのたくましさを感じます。

ギリ3島
●アクセス バリ島のべノアから高速船で約2時間30分。もしくはバリ島から国内線でロンボク島へ。陸路を約1時間移動した後、桟橋から船で約10分
●おすすめステイ先 アストン・サンセット・ビーチリゾート
URL http://www.aston-international.com/eng/hotel-detail/244/aston-sunset-beach-resort---gili-trawangan

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2014.12.27(土)
文・撮影=古関千恵子