NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のヒットで一躍脚光を浴びたエリアといえば、三陸。このエリアを詳しく紹介するガイドブックが、2014年6月の刊行以来、評判を呼び続けている。

 その名は、ずばり『三陸たびガイド』。三陸地方の8つの地域――岩手県の久慈(北三陸)、宮古、釜石、大船渡、陸前高田、宮城県の気仙沼、南三陸、石巻――の観光スポット、ご当地グルメ、宿泊施設、交通情報などを網羅した一冊となっている。

「あまちゃん」のロケ地となった久慈を訪れたなら、ドラマの世界を追体験することができそう。

 三陸では、水産業と観光業が地域を支える二本柱だったものの、東日本大震災でこれらの産業は大きな打撃を受けた。現在は、観光客を呼び込むことで産業の復興を図るとともに、被災地の現状と防災の大切さを伝える「復興ツーリズム」を推進する取り組みが、官民連携によって行われている。

 これまで、三陸にフォーカスした観光ガイドはほとんど存在しなかったため、情報収集には苦労することが多かった。その意味で待望されていたこの本の中では、有名観光地はもちろん、知る人ぞ知る地元の名店などが幅広く取り上げられている。新鮮なイクラ丼など日替わりランチが楽しめる気仙沼の海鮮のお店、釜石で60年以上の歴史を誇るラーメン店……。気になる情報が満載だ。

各エリアへの詳細なアクセスを掲載。また、タクシーやレンタカーの手配にも困らない。

 さらには、各エリアのタクシー、レンタカー利用の際の連絡先や宿泊施設の料金プランといった基本情報も充実。そして、この地方を知る上では避けて通ることができない震災についても、地域ごとに「震災の記憶」というページを設けている。ここでは、復興への努力を続ける現地の人々の姿を紹介するほか、被災地を旅するにあたっての注意事項、観光マナーなどが記されているのだ。

 三陸を旅することが、復興支援になる。いろんな意味で力を与えてくれる旅行ガイドだといえるだろう。

『三陸たびガイド』
遠藤宏之 著
発行 マイナビ
定価 1,580円(税抜)
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2014.10.10(金)