豊かな自然の中で、台湾文化の原点に出会う

「マンダリン オリエンタル 台北」のようなラグジュアリーホテルがある都心から、少し足を延ばせば、豊かな自然や懐かしい情景にも出会える台湾。訪ねたのは北東部、宜蘭県大同郷にある「プーラオ・ブールオ」という集落。台湾原住民であるタイヤル族が暮らし、その生活を見学、体験できる場所だ。

台北から約2時間。自然とともに暮らすタイヤル族の集落へ。

 原住民と聞いても、日本に暮らしているとあまりピンとこないかもしれない。台湾原住民というのは、漢民族が中国大陸から移住し始める前の、17世紀初頭以前から台湾に暮らしている先住民族のこと。台湾全人口に占める割合は約2%で、政府が認定しているのは14民族。タイヤル族の人口は8万5000人と、台湾原住民の中でも2番目に多い。

台北からたどり着いた寒渓村の中心地には、教会や可愛らしいカフェが。

 台北からの所要時間は2時間ほど。集落のある寒渓村の中心地まで行けば、タイヤル族のスタッフが迎えに来てくれる。この日、迎えてくれたのは、潘崴さん。タイヤル族名は、KWALI(以下、親しみを込めてカリーと呼び捨て)。タイヤル族伝統の衣装を纏い、足元は素足というワイルドないでたちで現れた彼は、台湾の公用語である北京語のほかに台湾語、タイヤル語、英語が堪能(オーストラリアの大学に留学経験あり)。タイヤル族のカルチャーについて、いろいろと教えてくれる。

 彼らが暮らす集落は、派出所や教会、学校、雑貨店などがある小さな村から、川を挟んだ山あいにある。川に架かる吊り橋は、タイヤル族の伝統的な模様にペイントされ、とてもカラフル。「子どもたちは毎日、この橋を渡って学校へ行くんだ。日曜は教会へ。タイヤル族の多くが、敬虔なクリスチャンだからね」と、カリーが教えてくれた。ゆらゆらと揺れる吊り橋を渡り終えたところで、4WDに乗り換え、いよいよ集落のある山へ。

吊り橋に描かれたカラフルな模様は、タイヤル族のシンボル。住民はこの橋を渡り、学校や教会、日用品を売る店に行く。

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2014.09.09(火)
文・撮影=芹澤和美
コーディネーション=Lily Yi