バイエルンの栄華を今に伝える、レジデンツ宮殿とニンフェンブルク宮殿。
ヴィッテルスバッハ家の本宮殿と夏の離宮を訪れれば美と歴史を体感できる。
芸術へと昇華された王たちの情念
バイエルンの歴史を見守った華麗なる宮殿
17世紀後半、バイエルン選帝侯の夏の離宮として誕生したニンフェンブルク宮殿は、その後約2世紀にわたり増改築が重ねられ、現在の壮大な姿へと発展した。この宮殿もまた、歴代君主の思惑や情念を想像せずにはいられない、美しい意匠に溢れている。
宮殿の中央パビリオンに位置する、3フロア吹き抜けの壮大な石の広間は、1750年代、選帝侯マクシミリアン3世ヨーゼフにより、息をのむほど繊細で華やかなロココ様式に改築されたもの。
マクシミリアン3世ヨーゼフは、レジデンツ宮殿の祖先画ギャラリーでプロパガンダを展開し、皇帝の座という一瞬の夢に走ったカール・アルブレヒトの息子にあたる。戴冠と引き換えに、国家を危機に陥らせた父の失敗から、武力ではなく芸術でバイエルンの豊かさを世界に示そうとした、若き君主の思惑が感じられる空間だ。
それとは対照的に、君主の欲が前面に押し出されているのが美人画ギャラリーだろう。女性問題が尽きなかったルートヴィヒ1世の命により描かれた36枚の美人画がずらりと並ぶ。
その中には、アイルランド人ダンサーで、彼の愛人のローラ・モンテスの姿もある。この絵が描かれた翌年、ルートヴィヒ1世は、彼女との関係が原因で退位に追い込まれている。
ニンフェンブルク宮殿にはまた、石の広間の改装を手掛けたマクシミリアン3世ヨーゼフが1747年に設立した磁器工房が併設されている。
当時のヨーロッパ貴族の間では、中国や日本の磁器の収集がステータスではあったものの、これには莫大な費用がかかった。そこで、自国で製造するための拠点を立ち上げたのである。工房では現在も18世紀と同じ製法で、すべての工程を完全に手作業で行っている。
原材料は、自社のレシピによって調合、1年間寝かせてから使用する。原材料を混ぜ合わせる粉砕機の動力には、水車を使うという徹底ぶりだ。
18世紀の天才彫刻家フランツ・アントン・ブステッリが原型を作った、ロココ様式の華麗なフィギュリンは、コレクターズアイテムとしても名高い。歴代デザインはアーカイブ化されており、1点からオーダーすることができる。
かつて磁器工房の所長が宿舎として使っていた邸宅は豪華に改装され、特別な一棟貸し宿泊体験を提供している。
右:カフェでの“宮殿朝食セット”1名22ユーロ(2名~)。
Schloss Nymphenburg(ニンフェンブルク宮殿)
所在地 Schloss Nymphenburg, Eingang 1, 80638 München
電話番号 089 179080
開館時間 9:00~18:00(10月16日~3月31日は10:00~16:00)
定休日 無休
料金 10ユーロ~
https://schloss-nymphenburg.de/
Porzellan Manufaktur Nymphenburg(ニンフェンブルク磁器工房)
所在地 Nördliches Schlossrondell 8, 80638 München
電話番号 089 179 1970
営業時間 10:00~18:30(土曜~16:00)
定休日 日曜、祝日
https://www.nymphenburg.com/
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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
