CREA Traveller 2026 秋号は「ドイツ」特集。ベルリンのダイナミックな新旧のアートシーン、ドレスデンのバロック建築に彩られた光景、ミュンヘンのバイエルン王国の栄華が残る宮殿文化など、ドイツには“美の物語”が至るところに紡がれている。クレアトラベラー創刊以来初となるドイツ特集は、この国の様々な表情を切り取った。

CREA Traveller 2026 秋号
ドイツ 愛しき物語
特別定価 1,800円
国際的な芸術都市ベルリンは、様々な現代アーティストが集まる場所。旧駅舎、元防空壕といったスペースを利用した展示スタイルも見どころだ。今に続く街の歴史、日常の中で、アートが必要欠くべからざるものとして溶け込んでいる。
ギャラリーとして蘇るシェルター
防空壕やブンカー(バンカー)と聞くと、戦争の時代から遺された負の遺産と思われがち。実際、空襲に耐えるために密に張り巡られた鉄筋と、厚さ数メートルにも及ぶ頑強なコンクリートは、解体するにも途方もない労力とコストがかかる代物だ。
ところが、こうした構造物に目をつけ、現代アート・コレクターが自ら収集した作品を収める場所として、好んで再利用するのがベルリンらしい姿勢。セキュリティも空調も完備された広い室内空間は実際、物理的にアート作品の保存にうってつけなのだ。欧州の他地域にも元ブンカーの美術館はあるが、2軒も優れた私設コレクションが市内に存在するのは、恐らくベルリンぐらいだろう。
まずは旧通信施設を換骨奪胎したザ・フォイエレ・コレクション。7350平方メートルもある館内の多くが、クメール文明の石仏像と、荒木経惟氏やクリスティーナ・イグレシアス氏をはじめとする現代作家の作品を独自に組み合わせたインスタレーションに当てられている。
最初に暗闇の中で楽器の音を浴びて、五感を整えた状態で見学スタート。仏像の艶めかしさがスポットライトの光と陰で浮き彫りになり、「聖と性」「祈りと禁忌」「永遠と刹那」といったテーマが、黙して語られるかのよう。まさしく感性に響くイマーシブ体験だ。お香やお茶を体験するプログラムも定期的に行われている。
The Feuerle Collection(ザ・フォイエレ・コレクション)
所在地 Hallesches Ufer 70, 10963 Berlin
電話番号 030 2579 2320
開館時間 金曜14:00~18:00(最終入場)、土・日曜11:00~18:00(最終入場)
定休日 月~木曜
料金 22ユーロ
●サイトにてスロット(入場時間枠)を要予約
CREA Traveller 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
