ネタ元・阿久悠も面白がったタイトル
当時はドン引いた私も、今ではこの曲が大・大好きである。即テンションを上げたい時、非常にお世話になっている。メロディーに落っこちそうなくらいのギリギリながら、全部奇跡的に乗っかっている歌詞。それをこぼさずに歌いきる早口。その勢いが、悩みをすっ飛ばしてくれるのだ。そしてアドレナリン物質がラーラーラーラララと放出される!
曲のタイトルは、沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンク・レディーの「渚のシンドバッド」をくっつけた、志村けんさんのコントが元ネタというのは、有名な話だ。そして両方とも、昭和歌謡の大御所・阿久悠さん作詞の超名曲。阿久悠さんは怒らなかったのだろうか。
当時を知る元ビクターのディレクター・飯田久彦さんのインタビューを読むと、事前に阿久悠さんに「こんな曲が出ますけど」と了承のお伺いがあったそうだ。阿久悠さんの反応は、
「“面白い! こういう遊び心が大事なんだ”」。
器がでかーいッ(感動)! 阿久悠さんも「ペッパー警部」をはじめ、超ハジケた歌詞を書き、世の中を驚かせてきた人だ。むしろ、桑田佳祐の登場を誰よりも喜んだのかもしれない。
阿久悠さんの長男である深田太郎さんは、様々なトークショーや対談などで、サザンの曲は、阿久さんには隠れて聴いていたことを告白している。
「逆にロックならいいのよ。RCサクセションとか聴いてることとかは言うんだけど、なんか父の存在を脅かすような人が出てくるときにやっぱりそれは言わなかったんだ。」(上村一夫 公式サイト深田太郎×上村汀トークイベント2016年3月12日)。
なんとほのぼのする親子エピソード。もしかすると、阿久さんは気づいていて「あいつ、サザン聴いてる……いっそ一緒に聴こうと誘ってくれんか」とウズウズしていたかも?
サザンのラブソングが危険な理由
妄想は楽しいが、キリがないので私個人のサザン体験の続きをザックリ書くことにしよう。そもそも私ははっきり日本語を歌う人が好きであり、タチツテトをチャティチュティエチョという風に、英語の発音チックに歌う人が少し苦手である。サザンも苦手だったのが、いつの日かひっくり返っちゃった。チャティチュティエチョどころではない、彼らの言葉遊びはもうもう清々しかった。
「Ya Ya(あの時代(とき)を忘れない)」で苦手意識がなくなり、「シュラバ★ラ★バンバ」で、いいな、面白いな、となり「愛の言霊(ことだま)~Spiritual Message~」と「イエローマン ~星の王子様~」はひれ伏した。あの呪文というか、祝詞のような歌から八百万の神が見えた。
ただ、メガヒットした「いとしのエリー」「真夏の果実」あたりは、いまだに身構えてしまう。というのも、友人カップルが必ずカラオケで歌い、超濃厚な二人の世界を作ってしまう場に何度も立ち会ってきたせいだろう。サザンのラブソングの持つ、恋人以外を視界から消してしまう強力なパワーは、魅力的を超え、危険すら感じる。
なにやら愚痴っぽくなってきたので、最後に「希望の轍」の思い出を。私は30代のころ、サザンのコピーバンドに、小学校の時ピアノを習っていただけなのに、なぜかキーボードとして入れてもらった。原由子さんのポジションである。責任重大である。そして最初に練習したのが、最初からキーボードの見せ場がある「希望の轍」。私はトホホな演奏しかできず、「希望の轍」は「絶望の轍」と化し、気まずくなってすぐ辞めた。切ない思い出である。クーッ、ミュージックカンバックトゥーミーア(Music, Come On Back To Me, Yeah)!
