結婚を経て、「パートナーに愛されている私」が新たに加わり、自分自身のことも少しずつ好きになれたという伊藤亜和さん。自由を手放して得た穏やかな居場所、両親との関係、自分を疑いながら救い続けること、それらについて綴った新刊『魔女になりたい』のお話を聞きました。

» 【前篇を読む】「常に自分は間違っている」という前提を持つようにして…業界大注目の文筆家・伊藤亜和(29)が考える、“批判”や“アンチコメント”への向き合い方
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愛されることで自ら自由を手放す

――今回のエッセイの中には、「現状の婚姻制度は女性に不利だと聞いて、逆に結婚を申し込んだ」という話が書かれていました。難しいことにはあえてチャレンジするタイプですか?

 難しいと言われて「じゃあやめておくか」と引くことはないですね。「常に自分は間違っている」と考えるようにしているということにもつながってきますが、成功するとも思っていないからチャレンジ出来るのかもしれない。もちろん、結婚生活は長く続けていきたいですけどね。

 事前に準備せずにやけくそでぶつかっていくタイプなので、成功を夢見たこともないんです。それに、成功しても失敗しても、自分で経験することがすごく大切なことなんだと思います。今っていろいろな情報がありますし、どうすれば失敗するのかも大体わかるじゃないですか。でも、私はやっぱりひねくれているから「実際はそうならないんじゃないか」と思ったら、確かめずにはいられないんです。

――結婚生活に飛び込んでみていかがですか?

 日々、楽しいです。でも物理的に家を維持するのは大変ですね。洗濯物もキリがないですし(笑)。

――パートナーと暮らすことは少しずつ自由を差し出すことだと綴っていらっしゃいますね。

 縛られてしょうがなく自由を差し出すのではなく、心配されたり愛されたりすることで、自分から手放している感覚です。もともと自分を肯定する能力がものすごく低かったので、それゆえに半分自傷行為みたいに自暴自棄になっていろんな経験ができたんです。でも、今は結婚して落ち着ける場所があって、私のことを嫌わなそうな人が隣にいる。そんな状況に身を置くと、どうしても自分のことを好きになってしまう。そうすると出来なくなることがたくさん出てきました。すごくくだらないことで言うと、3時間しか寝ないとか(笑)。

 「パートナーに愛されている私」が1つ加わり、自分を拡張しているイメージです。その自分を健康でいさせるためには、3時間睡眠は良くないなって。ふらふらと夜の街を歩いていて出会った人もたくさんいますが、そういった出会いはこれからは手放さないといけないですね。

――生活が変わっていくことに怖さはありますか?

 読者のみなさんがどう思うかというのは少し怖い気がします。もっと危険なことから生まれる、じめっとしたものを読みたいと期待している方も多いと思うので。

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