#10 ホオキパ・ビーチ
昼と夜とが入れ替わる時間、誰もが太陽に注目するサンライズやサンセットの前後ともいうべき微妙な時間帯に、ふとビーチを眺めるとたくさんの亀が泳いでいるのを見かける。島の北側の海岸線からは、カホオラヴェ島やラナイ島などが見える。南側のような内海的な面影はなく、大海を感じさせる。
ハワイ古来の土地区分法であるモクでいうとハマクアポコと呼ばれる、ハレアカラのオリンダ高原あたりから海にのびる三角形。このハマクアポコの海岸線にはサーフィン、ウィンドサーフィンで世界的に有名なビーチやポイントがいくつかあるが、そのなかでも特に知られているのはホオキパ・ビーチである。
ホオキパ、ようこそと迎えることを意味する名のビーチには、波もやってくれば、風もやってくるということで、プロのサーファーやウィンド・サーファーたちが集うため、高台からプロの技を眺めようとする人々があとを立たない。
早朝、ホオキパ・ビーチで亀を見て、湿り気のある砂を足で踏みしめながらゆっくりと歩くと、足の裏からじんわりと大地の目覚めを感じる。まだ波の小さいうちにサーフボードで漕ぎ出すのも名案だ。朝の海は一日の力を充電してくれる。一日の終わりに、疲れを洗い流すのもいい。海はすっかり柔らかく、体をほぐしてくれるに違いない。こうして一日中、途切れなく人が訪れても、居心地がいい理由は、まさしく「ホオキパ」ビーチだからである。
【Access & Advice】
カフルイ空港からハナ・ハイウェイを北へ車で約20分。途中のパイアの町で買い物や食事をすると楽しい。サトウキビ産業が盛んであったころにできた町は、産業の撤退とともに一時風化したが、サーファー、ヒッピー文化の興隆に伴って、町が活性化して現在に至る。自然を愛する人々の町らしく、オーガニックでナチュラルな衣食住、ライフスタイルが息づいている。パイアで一日過ごしたら、自然を見習って生きることの大切さを実感できそう。
神宮寺愛(じんぐうじ あい)
ライター・コーディネーター・翻訳(英語・ハワイ語)・フラダンサー。出版社勤務後、フリーランスになり、日本文化とハワイ文化に親しむべく、学びの日々を続けてマウイ島在住14年目。13歳の娘とイタリア系アメリカ人のパートナーとの三人暮らし。雑誌への寄稿多数、著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社)など。
2014.08.27(水)
文・撮影=神宮寺愛