“霊媒師”の役作りは……
――愛里という役についてはどのようにとらえましたか?
霊媒師として視えない存在と対峙している愛里は、自分とはまったく違うな、と思いました。私はいわゆる“視える”タイプではありません。でも、愛里のように視えたらいいなと思ったりもするんです。そういう世界を視える、信じられる大人って、ロマンがありませんか?
ただ、愛里は複雑な生い立ちなのに、泣いたり怒ったりという感情の出し方が意外とストレートでシンプル。そこには親近感を覚えました。
――役作りはどのように進めたのですか?
撮影に入る10カ月くらい前には一通り完成した脚本をいただいたのですが、世界観がかなり細かく設定されていて、完全に理解しないと置いてきぼりになってしまうと感じました。
そこで、まずはデイヴに、なぜこの作品をつくろうと思ったのか、愛里の生い立ち、霊媒師家系の背景などを何度もメールで尋ね、世界観を共有してから役作りに入りました。
撮影に入ってからも十分なディスカッションを重ねました。衣装合わせやホン読みのときも、納得できるまでとことん話し合い、愛里という人物をつかんでいきました。
――役作りで大変だったことはありますか?
撮影中は、特別なことをするというよりは、デイヴが考えている世界観を信じて演じる、という日々でした。
「霊媒師」という職業は少し特殊ですが、わざとらしくなく、彼女にとって当たり前だという説得力をもって演じるためにデイヴに細かい設定を何度も確認しました。デイヴの説明は、その世界が本当に存在するんじゃないかと思えるほど細部まで明確だったので、とても助かりました。
――役作りや演出に関して、具体的にリクエストなどもあったのでしょうか。
撮影に入る前に、デイヴからはニコラス・ローグの『赤い影』からピーター・メダック監督版『チェンジリング』、『永遠のこどもたち』まで新旧3本の映画が参考として送られてきました。いずれも日常の中にじわじわと恐怖が入り込んでくるタイプの作品でした。
『永遠のこどもたち』は観たいと思って見逃していた作品でしたが、ほか2作品はまったく知らなかったので、まずは観て、こういうものを求めているんだと、イメージをふくらませました。
本作のなかでもデイヴがこれらの映画をオマージュしているんだろうなと感じるシーンはいくつかありましたが、自分の演技でも真似しようとは思いませんでした。あくまでデイヴのイメージ共有のためにと思って観ていました。
