「あっ、言っとらんかった? ルミ子の本当のお父さん」

近田 子どもながらに勘が働いたのね。

小柳 だから、母に「このお母さんの隣に誰かいたっちゃろう?」と聞いたら、「あっ、言っとらんかった? ルミ子の本当のお父さん」って答えたんです。

近田 そりゃショックだよね。

小柳 ええ、ショックを受けましたよ。でも、その時、普通だったら、オイオイ泣きながら「ルミ子、ごめんね」って言いそうなシーンじゃない? それが、ケロッとした口調で伝えられたんで、こっちは泣くに泣けないし、怒るにも怒れない。

近田 受け身が取れない。

小柳 だから、この件は、それで終わっちゃった。うちの母親は頭がいいなと思いましたね。敵ながらあっぱれですよ。

近田 愁嘆場にならなかったのね。

小柳 それでまた、新しい父が、いい人だったんですよ。

近田 お仕事は何をされてたの?

小柳 運送業です。何人かを雇って、自分でも大型トラックを運転して。本当に寡黙で、余計なことを言わない人だった。家でお酒をちびちびやったり、たまーにパチンコに行ったりすることだけが楽しみで。お母さん、よくぞこんないい人を見つけてきたものだなと感心しましたよ。

近田 見る目があるよ。

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