しがみついたりしながら少しずつ距離を……

「ニホンザルはニホンザルが育てるべき」という考えの元、人工哺育が始まった当初からほかのニホンザルと空間を分けることはしなかったそう。

「同じ空間にいれば、群れのニホンザルたちはパンチを見ていますし、パンチも成長するに従って、目の前のニホンザルたちを認識します」(飼育担当者)

 お互いの存在を認識させて慣らしたのち、休園日だった2026年1月19日より群れでの生活がスタートとなりました。

 2月5日、市川市動植物園の公式Xに「サル山にぬいぐるみを持った子ザルがいます」というお知らせとともにオランウータンのぬいぐるみに抱きつくパンチくんの姿が掲載されると、大きな反響が。

 さらに翌日「#がんばれパンチ」というハッシュタグが作られ、動物園フリークや動物好きだけにとどまらず、国内外の注目を集めるようになりました。

「同園では、これまでも人工哺育の事例が生まれています。その度、群れ入れを行ってきましたが、すべてがうまくいくとは限りません。2008年に人工哺育となったオトメのように、サル山の群れで暮らせるようになった個体もいれば、群れから離れて生活させざるを得なくなった個体もいます。

 パンチも群れで暮らすことが一番という考えから群れ入りをさせたのですが、群れの中にぬいぐるみを持った小ザルがいると、ほかのサルも警戒しますし、当たり前ですが(人間が見ていても)目立つわけです。それまで我々はパンチについてのアナウンスはしていなかったのですが、園のファンの方が注目してくださり、SNSでも話題になり始めていたため、園としての立場や考えを公表することにしました。

 群れに入れるように頑張っているパンチを応援してもらおうということで、2月5日と6日、公式Xにポストしたんです。そこから状況は180度変わりました」(安永さん)

 最初こそ警戒していた群れのニホンザルたちも顔合わせの甲斐があってか、威嚇などはほとんど見られなかったとのこと。パンチくんはオランウータンのぬいぐるみにしがみついたりしながら、年齢の近いニホンザルたちと少しずつ距離を縮めていきました。

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